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あるコロンビア売春婦と一年間恋人関係にあった私は、不法滞在で強制送還された彼女を追いかけてコロンビア本国に渡って彼女の家を訪ねた。そこで見たものは…
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月曜日の日刊ゲンダイに書評が掲載されました。
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 二日後、無事に日本に到着し、約束どおりエバに電話した。

「リュージ。だいじょうぶだった?」
「うん、問題なかったよ」
「会いたい。わたし、寂しい」
「恋人はどうした。いっしょじゃないのか」
「セパレートした」
「どうして」
「……」

 おそらく、二週間近くわたしと共にしていたことがバレたのではないか。彼女は誕生日をわたしと過ごした。そのことは彼女たちにとって大事なイベントだったはずだ。それを無視して、わたしと過ごした。いくら生まれ故郷に行ったんだと嘘をついても、0何か彼女に変化が起こったのを感じたのか。あるいはエバ自身が、すべてを告白してしまったのか。

 彼女自身には、わたしと過ごすことで、普通のコロンビア人の男と付き合っていては、一生行けないかもしれないサンアグスティンやカルタヘナに行った。金銭的にも、物質的にも潤った。そういう損得勘定があって、わたしを選択したということもあるだろう。だが、その結果、コロンビアでの恋人を失った。

「あのね、空港からタクシーでアパートに帰るとき、わたし、ずっと寂しそうにしていたの。そしたら、タクシーの運転手が『コロンビアにも男はいっぱいいるぞ。元気出せ』と言ったの……。
 リュージ。わたし、また日本に行きたい」
「まだダメだよ。エバは裁判で懲役一年なんだよ」
「だいじょうぶ。一年あと」
「ダメだ。エバには執行猶予が三年付いているんだ。この前、説明しただろ。三年の間にまた捕まると、エバは一年モンキーハウスに入るんだよ」
「分かってる。わたし、もう日本で仕事はしない。ツーリストだけ」
「でも、三年は日本に来れないの。イミテーションのパスポートでも作らないと。でも、エバは捕まったから写真や指紋が入管のコンピューターに入ってる。だから、もしイミテーションのパスポートで来てバレたら、またモンキーハウスだよ」
「それ、わたし、しない。自分のパスポートで行く。裁判長言った。勉強して、大学を卒業して、本当に観光に来るのなら日本はあなたを歓迎しますって」

 彼女のわたしへの話しぶりは、蜜月時代のものと同じだった。わたしの心は、また揺れ動いた。
 カウンターには、すでに一列に十数人ずつ並んでいた。日本だったら、遅くても二十分くらいで自分の順番が回ってくるだろう。だが、列は遅々として進まない。ひとり十分くらいかかっているのだ。

 もちろんコロンビアとはいえ、カウンター業務はコンピューターで処理している。だが、カウンターの従業員があっちに行ったりこっちに行ったりして、なかなか処理が進まない。余裕をみて、二時間以上も前にカウンターに並んだのに、ようやく自分の番が来たのは出発時間の四十分ほど前だった。
 
 これでは免税店で買い物する時間もないだろう。本当に、コロンビアの事務処理能力は、旅行代理店にしても、空港にしてもひどかった。地方空港は、それでも乗客が少なかったから問題なかったが、国際線となると、乗客が多いのでそれが顕著に表れるのだ。

 遅いのには、もうひとつ理由があった。麻薬のチェックである。入国するときは、ほとんどフリーパスに近く、トランクも開けられなかったが、出国の今度は全部の荷物を開けさせられた。やはり、コロンビアは麻薬大国であるから、密輸に対して徹底的に検査されるのだろう。わたしはされなかったが、二列離れたところにいた男のトランクは、麻薬犬が嗅ぎまわっていた。

 もちろん、人相がいい(?)わたしは、そこまではされなかった。ただ、トランクに入れたマサパンの粉が入ったビニール袋を係官が見たときは、一瞬怪訝な顔をした。その男は袋をひとつ取り出して、じっと見つめた。アレーパの原料だと分かり、にやっと笑って元に戻した。

 ほかの荷物は、衣料のほか、サルサのCDやビデオが大量に詰め込んである。変な日本人だと思ったに違いない。だが、そのおかげて無事にチェックを通過した。搭乗券を受け取り、トランクとボストンバッグは預けた。

 あとは入管で出国手続きを終えるだけである。これも、入国の際、九十日の観光ビザをもらっていたので、二週間しか滞在していなかったわたしたちは、「ツーリスト?」「はい」とやり取りしただけで、すんなり通過した。

 だが、もう搭乗時間までほとんど時間がなかった。高価な免税品を買うつもりはまったくなかったし、買いたいものがあれば、ロスでも買えるから、そのまま駆け足で搭乗ゲートまで向かった。

 指定された座席にすわり、飛行機が離陸するまで、わたしはこの二週間の間に起こったことを回想した。いろいろのことがあった。最初はエバに受けた仕打ちに怒り、エバと別れ、すぐにカルタヘナに向かおうとさえ思った。だが、エバと十日間過ごすうち、昔のようにエバとの溝が埋まったと思った。

 しかし、最後の最後に「有り金をよこせ」と言われ、はっきり言って、どうやっても埋まらない溝を感じた。

 もう、エバとは会うことはないかもしれない。もし、またコロンビアに来ることがあっても、彼女ではなく、もっとほかのコロンビア人の家庭に行ってみたい。もっとひどい目に遭うか、それとも反対に、一家揃って歓迎されるようなことになるのか分からないが、彼女だけを通してコロンビアを語ることは出来ないのではないかと思った。
 
 エバは、一時間ほどマリアと旧交を暖めていたが、マリアを心の底では信頼していなかったのか、マリアの連絡先は聞いたが、自分の電話番号は結局教えなかった。

 マリアは精神的にタフなタイプらしく、いずれ偽造パスポートを作って、また日本に行くと言った。わたしたちの飛行機の出発時間まで、まだ二時間ほどあったが、エバは帰ると言い出した。自分とは異質なタイプ、つまり「プロ」に成りきっていたマリアに違和感があったのに違いない。

 荷物を片山氏たちに見張っていてもらうことにして、わたしはエバを空港の外に送って行った。

 タクシー代をけちってバスで帰るというエバに、「タクシー代くらいプレゼントするから、タクシーで帰ったら」と言うと、エバはこれ幸いと思ったのか、「あなた、ペソ余っているでしょ。もう使わないでしょ。それ全部ちょうだい」と言った。図に乗った要求である。

 わたしは財布に約十万ペソ、ポケットには約三万ペソ、分散して持っていた。せっかくコロンビアに来たのだから、空港でドルに両替せず、記念品としてペソのまま日本にいくらか持ちかえるつもりだったので、財布は見せず、ポケットに突っ込んであった三万ペソをエバに渡した。エバには、最後の最後までしゃぶり尽くされたという気持ちになった。

 しかし、タクシー乗り場で車に乗りこむ間際、エバは多くのタクシーの運転手が見ているのにもかかわらず、わたしにディープキッスを自らしてきた。

「日本に帰ったら、すぐに電話してね。わたし、待ってる」

 そう言い残して、彼女は去って行った。車が視界から消えるのを待って、わたしは片山氏たちのいるレストランに戻った。早めにチェックインを済ませようと片山氏が言い出し、わたしたちはチェックインカウンターに向かった。
 エバは、一時間ほどマリアと旧交を暖めていたが、マリアを心の底では信頼していなかったのか、マリアの連絡先は聞いたが、自分の電話番号は結局教えなかった。

 マリアは精神的にタフなタイプらしく、いずれ偽造パスポートを作って、また日本に行くと言った。わたしたちの飛行機の出発時間まで、まだ二時間ほどあったが、エバは帰ると言い出した。自分とは異質なタイプ、つまり「プロ」に成りきっていたマリアに違和感があったのに違いない。

 荷物を片山氏たちに見張っていてもらうことにして、わたしはエバを空港の外に送って行った。

 タクシー代をけちってバスで帰るというエバに、「タクシー代くらいプレゼントするから、タクシーで帰ったら」と言うと、エバはこれ幸いと思ったのか、「あなた、ペソ余っているでしょ。もう使わないでしょ。それ全部ちょうだい」と言った。図に乗った要求である。

 わたしは財布に約十万ペソ、ポケットには約三万ペソ、分散して持っていた。せっかくコロンビアに来たのだから、空港でドルに両替せず、記念品としてペソのまま日本にいくらか持ちかえるつもりだったので、財布は見せず、ポケットに突っ込んであった三万ペソをエバに渡した。エバには、最後の最後までしゃぶり尽くされたという気持ちになった。

 しかし、タクシー乗り場で車に乗りこむ間際、エバは多くのタクシーの運転手が見ているのにもかかわらず、わたしにディープキッスを自らしてきた。

「日本に帰ったら、すぐに電話してね。わたし、待ってる」

 そう言い残して、彼女は去って行った。車が視界から消えるのを待って、わたしは片山氏たちのいるレストランに戻った。早めにチェックインを済ませようと片山氏が言い出し、わたしたちはチェックインカウンターに向かった。
プロフィール
HN:
出町柳次
性別:
男性
職業:
フリーライター
趣味:
ネットでナンパ
自己紹介:
フリーライター。国際版SNS30サイト以上登録してネットナンパで国連加盟国193カ国の女性を生涯かけて制覇することをライフワークにしている50代の中年。現在、日刊スポーツにコラム連載中(毎週土曜日)。
新著「体験ルポ 在日外国人女性のセックス」(光文社刊)好評発売中。
「サイバーセックス日記」http://demachiryuji.seesaa.net/
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