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あるコロンビア売春婦と一年間恋人関係にあった私は、不法滞在で強制送還された彼女を追いかけてコロンビア本国に渡って彼女の家を訪ねた。そこで見たものは…
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 それ以来、エバからは毎日のように「会いたい」という電話がかかってきた。なんとか時間の都合をつけ、一週間に二回くらいのペースで会った。彼女の仕事場には決して行くことは許されなかった。「恥ずかしい」と言うのだ。わたしとしても、彼女が「仕事」しているところは見たくなかった。だから、いつも彼女の仕事が終わるのを外で待ち、落ち合った。

 お金も、「ご飯食べるお金ちょうだい」と言われて、数千円を渡すことはあったが、「お客」が通常払う数万円という金額は要求されたことはなかった。それが救いだった。「オレは客ではない。恋人なんだ」と実感できたからだ。

 しかし、約二ヶ月後の土曜日の夜、ある事件が起こった。待ち合わせ場所で待っていると、エバがバッグも持たずに手ぶらで現れた。そして、「今日、お客さんが四万円でデートしたいと言ってる。あなた、二万円プレゼントしてくれたら、わたし、キャンセルする。どうする」と言ったのだ。

 わたしはショックを受けた。金を要求されたからではない。お金のためとはいえ、彼女がほかの男とホテルに行っていることが分かったからだ。もちろん、エバは娼婦である。しかし、彼女には劇場の仕事で定期収入があった。その中で行われている行為に付いては、不思議と何の嫉妬心もわかなかった。客が彼女を選ぶのであり、彼女が選ぶわけではなかったからだろう。

 だが、劇場の仕事がハネたあと、客と一晩ホテルに行くということは、彼女の自由意思が働いている。そう思うと、急に胸が締め付けられるような気持ちになった。

 劇場の仕事が終わったあと、なじみの客とホテルに行ったり、池袋や大久保のホテル街にタクシーで乗りつけて、立ちんぼのアルバイトをしている女たちがいることは知っていた。だが、約二ヶ月間の付き合いの中で、エバだけはそんなことをしない女だと思っていた。プライベートなときは、時間が許す限りわたしと一緒にいてくれるのだと勝手に思い込んでいたのだ。

 だが、わたしが気がつかなかっただけで、彼女も同じように稼いでいたのだ。

 わたしは彼女をなじった。

「どうしてだ。今日会うのは前から約束していただろ。わたしはエバの恋人じゃないのか」

「恋人。でも、わたし、お金欲しい。わたしだって、こんな仕事悪いのは分かってる。だから、早くお金を稼いで、早くコロンビアに帰りたい。あなた、ヘルプしてくれてもいいでしょ。わたしはいままでずっと、あなたにお金を欲しいと言わなかった。だから、ときどきでいい。一ヶ月に一回でいいの。お金をプレゼントして」

「お金をプレゼントしたら、わたしは『恋人』じゃなくて、『お客さん』になっちゃうじゃないか」

「違う。あなた、わたしの恋人。お客さんじゃない。でも、お金欲しい。どうする」

 わたしは決断を迫られた。彼女の論理としては、本当はわたしと過ごしたい。だが、ひとりの客と一晩過ごせば四万円が手に入る。劇場で何十人もの相手をするに匹敵する金額だ。これは捨てがたい。それに対して、わたしといれば収入はゼロである。だから中間をとって「二万円」という金額を提示したということだろう。

 この当時、幸いわたしには毎月約二十万円の副収入があった。だから単に二万円という金額なら惜しくはなかった。だが、金は要求されないといっても、三日と開けずに「会いたい」と言われて彼女と会っていたら、食事代やホテル代、車のガソリン代などで、それはそのままそっくり消えていた。たまらなくなって、エバに「会う回数を減らしてくれ。ピックアップのときだけにしてくれ」と言ったこともあるほどだ。

 ピックアップとは、彼女たちの移動を手伝うことである。劇場の仕事をしているラティーナたちは、原則として十日ごとに仕事場を移動する。普通は、彼女たちは前夜に宅急便で荷物を送っておき、次の日、朝一番の電車で次の仕事場に行く。だが、特定の恋人がいる女は、前夜に迎えに来てもらい、次の仕事場近くのホテルに泊まって、翌朝送ってもらう。

 仕事場入りする時間は、十時とか十一時と様々だが、少しでも遅刻すれば、ペナルティとして仕事はキャンセルされる。十日間無給になるわけだから、彼女たちも必死だ。寝過ごすのを怖れて、徹夜する女もいる。

 しかし、移動先によっては、電車だとかなり時間のかかる場所もある。ひとりでは、迷って遅刻することもある。駅などで警官に職務質問されて、オーバーステイで逮捕されるケースもある。だから、深夜のうちに車で移動しておいて、安心して眠りたいというのが彼女たちの本音だった。

 わたしはエバと付き合い始めてから、このピックアップを頼まれていた。関東周辺なら、きちんと仕事先まで送り届けた。遠くの場合は、新幹線の駅近くに泊まり、チケットを買って乗せた。仕事のやりくりをするのは大変だったが、サラリーマンではないから、特別の仕事がなければ昼までたいてい自由だったから、なんとか都合をつけた。

 ピックアップを頼まれるということは、特別な関係であるということの証明だ。だが、移動日になると、客やイラン人たちが楽屋に電話をしてきて「次はどこ。送ってやろうか」と誘うことが多かった。実際、ある劇場にエバを迎えに行ったとき、同僚のコロンビアーナがイラン人に誘われて、車に乗っていくところを目撃した。エバに聞いたら、そのイラン人はまったく知らない男で、ただ楽屋に電話をかけてきて誘っただけだという。

 イラン人の車に乗っていると、検問に引っかかったらアウトだ。そうでなくても、彼らの目的は女とやることだけである。送ってやることで、一晩やりまくれればラッキーだと思っている。相手はひとりだ、ひとりなら客を相手するのと変わらない、電車賃を使わずに移動でき、ついでに金ももらえればラッキーだ、と思って付いていったら数人のイラン人にレイプされた女もいるという話もエバから聞いていた。恋人ならともかく、電話一本で見知らぬ男の車に乗って行くなんて、女も女だった。

 だが、エバにだって、そんな話は山ほどあるに違いない。わたしがピックアップを断れば、彼女はほかの男の話に乗る可能性があった。それだけは避けたかったので、わたしはピックアップだけは、彼女と別れるまで一年間守り続けた。

 


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