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あるコロンビア売春婦と一年間恋人関係にあった私は、不法滞在で強制送還された彼女を追いかけてコロンビア本国に渡って彼女の家を訪ねた。そこで見たものは…
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 エバは日本のCDを見て、目を輝かせた。そして、中島みゆきの最新アルバムだった「大吟醸」を引っ張り出し、ステレオにかけた。

 ステレオはミニコンポだったが、日本製ではなく、フィリップ社製だった。日本のものより少し大きめだった。コロンビアに帰ってから買ったものなのだろう。

「大吟醸」の一曲目は、日本テレビのドラマ「家なき子」の主題歌でヒットした「空と君との間には」だった。このアルバムは中島みゆきのベストアルバムなので、彼女の過去のヒット曲「時代」なども多数収録されていた。

 エバは曲の出だしを聞いた途端「ベリーグッド。リュージ、ありがとう」と微笑んで言った。そして、「リュージ、お腹空いてる?」と尋ねた。

 飛行機の中で、到着二時間ほど前に機内食の朝食が出た。それ以来、何も食べてない。「空いた」と言うと、中島みゆきの曲をそのまま流しながらキッチンで料理を始めた。彼女が料理をしているのを待つ十分ほどの間、わたしはソファに座りながら土産物を全部取り出し、フロアに並べた。

 エバはそれを見て、「オー、いっぱいね」と言った。 「これ、みんなあなたのお姉さんのファミリーへのプレゼントね。でも、誰がどれ欲しいか分からない。あなた決める。オーケー?」 「オーケー。できたよ、食べる?」

 テーブルの上には肉料理とポテトフライ、ライスにオレンジジュースが並べられていた。肉といっても、豚か牛の内臓らしいものを香辛料で炒めたものだった。

 東京のコロンビアレストランでは、レバー料理はあるものの、メインは普通の牛肉ステーキだった。だが、本国では内臓料理もポピュラーらしい。

 フライドポテトは添え物として必ず付いてくる。米はパサパサの長粒種、いわゆる「タイ米」で、塩味を付けて軽く炒めてあった。

 数年前の米不足のとき、日本ではタイ米がまずいと騒いで問題となった。しかし、わたしは東京のコロンビアレストランでライスを食べてもまずいと思ったことは一度もなかった。

 東京のコロンビアレストランでは、タイ米を使っていた。米が安いこともあるが、まずいと思うのは炊き方が日本式だからで、コロンビア流の炊き方をすれば下手な日本米よりおいしくなる。東南アジアでチャーハンを食べた人なら分かると思うが、日本米ではけっしてあれほどおいしいチャーハンを作れない。要は調理の仕方なのだ。

「おいしい?」とエバが聞いた。正直言って、内臓料理はあまり好きではない。まずくはないが、おいしくもなかった。だがせっかく作ってくれたエバの手前、「おいしい」と言った。

「わたし、いつもクッキングしない。わたし、ひとりで住んでる。だから、面倒くさい」
「ノー。あなた、クッキングへた。だからクッキングしない」 わたしは少し茶化して言った。
「そう。わたし、できる、これだけ」  エバも、苦笑いしながら言った。

 日本でエバの手料理を食べたのは、彼女が十日間休みを取って千葉のアパートにいたときの二度だけだった。彼女がそのアパートを借りていたのは数ヶ月間だけだったし、仕事があるときは、荷物を持って仕事場を転々としていた。だから、物理的に彼女の手料理を食べる機会がなかった。

 スナックの仕事ならアパートが必要となるが、ストリッパーの場合は原則楽屋に寝泊まりするため、特に必要ない。それでもほとんどのコロンビアーナたちは、姉妹や友人たちと共同でアパートを借りているが、荷物を置くためだけになりがちだ。それでエバは、アパートの家賃がもったいないといって借りようとはしなかった。

 仕事仲間を信用していなかったこともある。彼女たちは、全国の仕事場を転々としている。一ヶ月以上、アパートを空けることもざらだ。その間、同居人やその仲間に荷物を盗まれることもある。肉親でないかぎり、けっして信用できないのだ。もっとも、その肉親だって信用できない場合があるのだが、それは後述する。

 エバが料理を本当に好きなら、たとえ一人暮らしであっても作って食べる。男のわたしだって、一人暮らしのときは、たまには自分で作って食べた。料理の本のレシピを見ながら、一つずつ未知の料理を作って征服していくのはけっこう楽しかった。

 彼女の部屋の冷蔵庫を開けてみたが、ジュースや卵などが数品入っているだけで、野菜などはまったく入っていない。中はがらんとしていた。およそ女の子の部屋の冷蔵庫とは思えない。料理が好きでないことは明らかだった。
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