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あるコロンビア売春婦と一年間恋人関係にあった私は、不法滞在で強制送還された彼女を追いかけてコロンビア本国に渡って彼女の家を訪ねた。そこで見たものは…
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「わたしね、大学の一年のころ、鉄板焼きのお店でアルバイトしていたの」

  エバが、下界の景色を眺めながら、ポツリと言った。

「鉄板焼き?」

「そう」

  そう言えば、銀座の鉄板焼きの店で昼飯を食ったときに、そんなことを彼女が言ったことを思い出した。

「そこの社長、日本人ね。彼がわたしに愛人になれって言うの。大学のお金も、アパートのお金も全部出してやるからって」

「それで、どうした?」

「もちろん、断った。わたし、そのとき十九歳。バージン。彼、おじいちゃん」

「何歳?」

「たぶん、五十五歳くらい」

「奥さんいたの?」

「そう」

  とんでもない野郎だ、と自分のことは棚に上げて腹を立てた。

「その店はどうした?」

「辞めた。お店終わってアパートに帰ると、十二時でしょ。怖いし、勉強できないし」

「じゃ、お金はどうした。ほかにアルバイトしたのか?」

「ゴルフ場のアルバイト」

「キャディ?」

「ノー、練習場の受付の係り」

「それでお金足りたのか?」

「ノー。それでお店のお客さんだったミツビシの人に相談したら、彼が助けてくれた」

「お金を?」

「うん、二十万円くらい」

「そんなに?  彼は恋人だったのか」

「ノー、友だちだけ」

「うそつけ。そんな大金を何もない女にプレゼントするものか」

「本当。わたしのお姉さん、イタリアにいるサリーね。彼女が日本人は悪いから、絶対だめだって怒るから、何もなかった。バージンだったし」

「彼は何歳?」

「三十歳より若い」

  自分は日本に出稼ぎに来ておいて、「日本人は悪い」もないもんだ。まったく、サリーという女は煮ても焼いても食えないやつだ。それにしても、そのミツビシの男も、自分が援助した初なコロンビアの女子大生が、数年後に日本に売春に来るなんて想像もしなかっただろう。エバと日本とは、やはり浅からぬ因縁があったのだ。


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出町柳次
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男性
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フリーライター
趣味:
ネットでナンパ
自己紹介:
フリーライター。国際版SNS30サイト以上登録してネットナンパで国連加盟国193カ国の女性を生涯かけて制覇することをライフワークにしている50代の中年。現在、日刊スポーツにコラム連載中(毎週土曜日)。
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