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あるコロンビア売春婦と一年間恋人関係にあった私は、不法滞在で強制送還された彼女を追いかけてコロンビア本国に渡って彼女の家を訪ねた。そこで見たものは…
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 付き合いがギクシャクしだしてから、金回りが悪いわたしに見切りをつけ、エバは金持ちの男たちから、あれこれプレゼントを引っ張っていた。十三万円のロレックスも、そのうちのひとつだった。

 逮捕される二ヶ月前、東京に来ていたエバから突然、今晩会いたいと言われたことがあった。会ってみると、用件は明日の朝、千葉の時計店に一緒に行ってくれというものだった。お客さんにねだって時計を買ってもらったのだが、電池が悪くて、交換しなくてはならないが、日本語でうまく説明できないので、一緒に行ってほしい、保証期間内だから金は必要ない、という。

「だったら、その男と行ったらいいだろ」とむくれて言うと、「彼、いま東京にいない。だから、お願い」と懇願する。一晩一緒に過ごすことになるのだから、わたしはやりなおすきっかけになるのではないかという気もあり、承諾した。

 だが、ホテルでいざ一戦交えようという段になって、「セックスするんなら一万円ちょうだい」と言い出した。

 わたしは、「なんだ。自分から言い出しておいて、金を要求するとは。おまえは心までプータ(売春婦)なのか」とわたしは怒った。すると、エバは、「あなた、わたしを助けてくれるのはありがとう。でも、ただで出来ると思ったら間違い」と開き直った。

 彼女は泊まりで客を取れば四万円は要求していたし、エバとは久しぶりだから、正直言って一万円くらいは出してもいい気持ちはあった。四万円ではなく、「一万円」というところに、彼女がわたしにいくらか感情を残していることをうかがわせた。だが、金額の多寡ではなく、セックスの代償としていくらかでも渡せばわたしは「客」になってしまう。そんなことを言うエバが許せなかった。

 結局、わたしは「もういい」と言って、彼女に背を向けて横になった。朝の七時ころ、目が覚めた。となりにはエバが眠っている。ムラムラとして、彼女の胸やヒップを愛撫した。蜜月時代のエバなら、半分眠っていても、嫌がらずに股を開いてわたしを受け入れた。何度でも要求を受け入れた。

 だが、この日のエバは、「やるんなら一万円ちょうだい」とはっきりと言った。わたしはキレて、「もう帰る。もう電車がある時間だから、あとは自分ひとりで時計屋に行け」と怒鳴った。すると、エバは泣き出しそうな顔になり、「あなた、一緒に行ってくれるって約束したじゃない。わたし、ひとりで行けない。お願い。一緒に行って」と懇願した。わたしは帰るのを止め、店が開く十時近くまでホテルで過ごした。店に連れて行き、約束どおり時計は修理したが、ほとんど口はきかず、気まずい時間が流れた。それ以来、逮捕されるまで彼女から連絡はなかった。


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出町柳次
性別:
男性
職業:
フリーライター
趣味:
ネットでナンパ
自己紹介:
フリーライター。国際版SNS30サイト以上登録してネットナンパで国連加盟国193カ国の女性を生涯かけて制覇することをライフワークにしている50代の中年。現在、日刊スポーツにコラム連載中(毎週土曜日)。
新著「体験ルポ 在日外国人女性のセックス」(光文社刊)好評発売中。
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