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あるコロンビア売春婦と一年間恋人関係にあった私は、不法滞在で強制送還された彼女を追いかけてコロンビア本国に渡って彼女の家を訪ねた。そこで見たものは…
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 出発時間になったので、チバに戻った。ロンやコーラを飲み干したグループは、どんどん追加を注文していた。金は取らない。飲み放題だ。わたしたちの列も、ロンとコーラを追加して、二人であおった。

 チバはセントロからボカグランデに向かって戻り始めた。もう終わりかなと思ったら、海岸脇の店の前で停まった。ディスコだった。エバに聞くと、このディスコでツアーが終了するのだという。

席につくと、ひとりひとりに今度もロンが一杯ずつ配られた。酒が行き渡ると、客のほとんどがフロアーに出て踊り出した。曲はメレンゲだった。エバもわたしに「踊ろう」と言った。

 ボゴタのディスコに行ったときは、荷物が心配だったので踊らなかったが、今日はポケットカメラだけだったので、ズボンのポケットに突っ込んでフロアーに出た。

 エバが「あなた、うまくなったね。どこで覚えた? 女?」と、少し嫉妬心を含んだ目で言った。

 エバと踊るのは、一年半ぶりぐらいだった。出会った初期のころはともかく、付き合いが深まるにつれ、わたしと一緒にいるのを他の女に知られたくないらしく、ディスコには行かなくなった。それでもコロンビアの料理だけは食べたい彼女の代わりに、わたしがディスコに行き、持ちかえり弁当にして買って帰ったことが再三あった。

 その間、わたしはスナックの女の子たちとたまに踊りに行っていたから、多少は進歩したと思うが、本格的に習ったことはなかった。目で見ていると、簡単そうに思えるのだが、コロンビアーノたちのリズム感には付いていけそうもなかった。日本に帰ったら、本格的にレッスンに行こうかなと思った。新宿と違い、六本木ではぼちぼちレッスンスクールが出来てきて、サルサやメレンゲを踊れる日本人が増えてきていたからである。

 ツアーのディスコは三十分ほどでお開きになった。そのまま残って自腹で飲んでもいいし、帰りたいのならそれぞれのホテルに送ってくれるという。エバと相談したら、「帰る」というので、チバに戻った。客の三分の一くらいはディスコに残ったようだった。

 時間は十一時を過ぎていた。三時間のコースで、ドリンク飲み放題、しかもディスコ付きで一万五千ペソ(約千五百円)は安かった。日本のパック旅行でも、安いオプショナルツアーはあるが、たいてい土産物屋と結託していて、そこからバックマージンを取ることによって成り立っている。しかし、このツアーに限っていえば、ただ安いだけ、どこにもぼられる要素はなかった。


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フリーライター。国際版SNS30サイト以上登録してネットナンパで国連加盟国193カ国の女性を生涯かけて制覇することをライフワークにしている50代の中年。現在、日刊スポーツにコラム連載中(毎週土曜日)。
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