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あるコロンビア売春婦と一年間恋人関係にあった私は、不法滞在で強制送還された彼女を追いかけてコロンビア本国に渡って彼女の家を訪ねた。そこで見たものは…
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 危ないと思ってビデオをホテルに残してきたことを後悔した。こんな盛り上がりは、東南アジアなどではめったに見られない。いかにも陽気なコロンビアらしい光景だった。代わりにポケットカメラを取り出して写そうとしたが、バッテリーがなくなったのか、故障したのか、シャッターが切れない。

「おかしいなあ」とカメラをいじくっていると、エバが「どうしたの」と尋ねた。

「ちょっと、おかしいんだよ。フラッシュがたけないんだ。エバ、おまえカメラ持ってきたか」

「持ってきてない。どうして、せっかくなのに」

 エバは写真に撮られるのを以前から嫌がっていて、サンアグスティンでもあまり撮らせなかった。それがいまになって積極的に「撮れ」と言うのである。よほど開放感に満ち溢れているようだった。

 チバは夕方通った四キロも続く城壁の道を通った。十メートルおきくらいにスポットライトが城壁を照らしていて、非常に絵になる光景だ。ボゴタで買ったパンフレットと同じだった。一眼レフのカメラで、三脚を立て、スローシャッターで写せば言い絵が撮れるのにと、機材を持ってこなかったことを後悔した。

 セントロ地区を一周し、チバが停まった。すでにもう一台のチバが停まり、客が広場に散会していた。バジェナートに合わせて踊っているカップルも多かった。わたしたちもチバを降りると、ひとりひとりに紙で包んだエンパナーダスを手渡された。軽食付きだったのだ。

 ロンを入れた紙コップを持って、わたしたちはエンパナーダスをほおばりながら、みんなの集まっている広場に行った。行ってみると、そこは先ほど見た城壁の上だった。四メートルほどの高さだ。落っこちたら、死ぬことはないにしても骨折は必至だ。だが、そんなことはまったく気にする様子もなく、城壁に腰掛けてキスをしているカップルもいた。

 バジェナートで踊っている連中をしばらく見ていたあと、エバとわたしはあたりを散策することにした。城壁の反対側の街のほうに行くと、百年以上も前に建てられたような、石造りの建築物が並んでいた。博物館か歴史的記念物なのかと思ったら、入り口の奥にレストランがあるのが見えた。どうやら現役のホテルらしい。ホテルカリベもかなりの年代物だったが、これはそれ以上だ。機会があったら、こんなホテルに泊まるのも味わいがあっていいなと思った。

 


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自己紹介:
フリーライター。国際版SNS30サイト以上登録してネットナンパで国連加盟国193カ国の女性を生涯かけて制覇することをライフワークにしている50代の中年。現在、日刊スポーツにコラム連載中(毎週土曜日)。
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