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あるコロンビア売春婦と一年間恋人関係にあった私は、不法滞在で強制送還された彼女を追いかけてコロンビア本国に渡って彼女の家を訪ねた。そこで見たものは…
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 翌朝、十一時の便だったから、わたしは早めに寝た。目覚ましをセットしておいたので、九時前には起きた。片山氏とは、翌日の十二時、ボゴタの空港内にあるレストランで待ち合わせることにした。タクシーを呼んでもらって、わたしひとりでカルタヘナの空港に向かった。乗る前に料金の確認を怠らなかった。五千ペソだった。

 ひとりで不安だったが、チェックインも無事済み、定刻どおりボゴタの空港に飛んだ。飛行中も、何もトラブルはなかった。

 ボゴタの空港に着いて、ゲートを出た。エバの姿を探したが、見当たらない。昨日、あれほど確認したのに、すっぽかされたのかという不安がよぎった。しかし、十分ほど遅れて「リュージ」と言いながら、エバが現れた。

 彼女の格好に驚かされた。なんと紺色のスーツ姿だったのだ。いつも彼女はジーンズをはいていた。彼女のスーツ姿なんて初めて見た。何の用があって、スーツを着ていたのだろうか。

「どうして遅い」

「ごめんなさいね」

 エバはそれだけ言い、遅れた理由については話さなかった。タクシーを待たせてあるというので、外に出ると、待っていたのは例の白タクの運転手だった。彼の車を利用するのは、これで三度目だった。

どういう理由でエバは彼の車を利用するのだろう。おそらく流しのタクシーを拾うより、女ひとりで乗る場合、危険性が少ないということがあるのだろうが、男としては疑いの気持ちを持ちたくなる。

 車に乗って、エバのアパートに向かった、と思ったら、車は見慣れないところで停まった。オフィス街にある銀行の前である。

「リュージ、ここで降りて」

「えっ、どうして」

「いいから降りて」

 彼女を空港まで乗せてきた料金も含まれているのだろう。料金一万ペソを払って、車を返した。エバはわたしを銀行の中に連れていった。そこで三十分ほど、女性の銀行員と何やら書類を交わしながら話していた。

「終わった。行く」

「何やってたの、銀行で」

「ちょっと問題あった。もう終わった」

 エバはそれ以上説明しなかった。彼女が持ちかえった現金だけで三百五十万円あった。家具や何やら買って目減りしたとしても、それまでに送金した金を入れれば相当な額になるはずだ。コロンビアの利子については、どのくらいか知らないが、インフレの激しいコロンビアはかなり高いはず。

したがって、利子だけでも生活できるほど預金しているのではないか。あるいは、より配当が高い、株か投資信託にでも投資しているのだろうか。彼女が何も言わないので、それ以上は分からなかった。


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出町柳次
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男性
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フリーライター
趣味:
ネットでナンパ
自己紹介:
フリーライター。国際版SNS30サイト以上登録してネットナンパで国連加盟国193カ国の女性を生涯かけて制覇することをライフワークにしている50代の中年。現在、日刊スポーツにコラム連載中(毎週土曜日)。
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