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あるコロンビア売春婦と一年間恋人関係にあった私は、不法滞在で強制送還された彼女を追いかけてコロンビア本国に渡って彼女の家を訪ねた。そこで見たものは…
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 ここA市の劇場は、外人専門のストリップ劇場としてその筋には知られていた。常時十人前後の外人嬢が出演し、舞台では本番ショーとタッチショーを繰り返し、全員が個室サービスを行うのだ。個室の料金は五千円。駅からだいぶ遠い所にあり、内容も過激なため新聞広告も出していない。口コミだけに頼っており、普段の日はほとんど常連客ばかりの劇場だ。足の便が悪いので、車がないと、本当に行きずらいところだ。

 仕事が終わって、車を走らせ、劇場に辿り着いたのは九時すぎだった。劇場の中に入るとラストの回がもう始まっており、トップの女の子が踊っていた。それがエバだった。彼女の顔は、以前にも見たことがあった。

  だが、彼女とは一回も相手をしたことがなかった。確かにグラマー。肉感的でいいのだが、こちらが劇場に行くときは、目当ての子が出ているときだ。その子の相手をしてからだと、体力的にも金銭的にもつらい。だから、いつかやりたいなとは思っていても、一度も彼女を指名したことはなかった。

  その日も、入っていきなり彼女を見て、指名したいなとは思ったのだが、いかんせん今日はクラウディア目当てで来ている。受付に戻り、クラウディアを指名して個室の順番を待った。

 ここは、多くの個室サービスを行っている劇場とは違い、女の子のポラロイドが受付に張ってあり、舞台の直後ではなく、いつでも指名を受け付けるシステムになっている。幸い、クラウディアはすぐにやってきた。

  十日近く経っていたのだが、わたしの顔は覚えていて「ゲンキ?」と、挨拶してきた。しかし、そこまでだった。タッチしようとすると、またチップを要求してきた。しょうがなく、また二千円やった。合体しても、前回と同じで反応は鈍い。早く終わってくれという感じがありありと分かる。

  失敗だった。知り合いが、「クラウディアは性格が悪い」と言っていたのを、つくづく本当だと思った。

 席に戻り、ステージをしばらく見ていた。遅く来たため、もう一回チャレンジする体力も時間もない。そうしているうちに、ラストから三番目のクリスという女が登場してきた。細身で、踊りもけっこう上手い。

  彼女を見た途端、もう一回チャレンジしてみようという気が起きたが、もうすでに個室の受付が終わっている時間だ。「今週は忙しくてもう来れないだろう。来週どこに行くかだけでも聞いておこう、近くだったらそこへ行けばいい」と考えて、最後のオープンショーのときに近寄ってきた彼女に聞いてみた。答えは「まだ、わからなーい」だった。しまった。まだ八日目だった。劇場の仕事は十日ごと、一の付く日に移動する。

 日本人の踊り子の場合、新聞広告などをうつ関係からか、一週間以上前から次のスケジュールが切られていることが多いが、外人の場合、チェンジの前日か、前々日しかプロモーターから連絡が来ない。この日は三日前だったので、まだ連絡が来ていなかったのだ。

 ところが彼女、突然こちらにまた寄ってきて、「あなた、今日車で来ているの?」と聞く。「そうだ」と言うと、「新宿まで乗せていって」と言う。新宿は、どうせ帰る方向だ。たぶん、ディスコへ行くつもりなのだろう。

  断る格別の理由もないので「オーケー」と言うと、外で待っててと言う。普通なら、何時何分にどこそこでと細かく決めるのだが(といっても、時間はほとんど守られたためしがないのだが)、なにぶんステージの前なので詳しく話す余裕はない。それだけ言い置いて、彼女は引っ込んでしまった。

  時間がないから、もう彼女は個室サービスはしないだろう。すると、シャワーを浴びて着替えをして、最短だと十五分くらいで出てくるかもしれない。お人好しにも、人に待たされても人を待たせるのは大嫌いな性格なので、すぐに劇場の外に出て待つことにした。

 しかし、どこで待ち合わせるとも、何時とも約束していない。しょうがないので、人の出入りの分かる、斜め前のコンビニの前に車を横付けして待つことにした。少し先に一台の車が停まっていて、イラン人が三人ほど乗って待っている。その斜め前には、もう一台の車。こちらは一人のイラン人らしき男がウロチョロしている。こいつらは、彼女たちと約束しているのか。それとも、出てくるのを待ち受けて、これから話をつけようとしているのか。

 


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フリーライター。国際版SNS30サイト以上登録してネットナンパで国連加盟国193カ国の女性を生涯かけて制覇することをライフワークにしている50代の中年。現在、日刊スポーツにコラム連載中(毎週土曜日)。
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