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迎えに来るはずのエバとは、一月以来、三ヶ月ぶりの再会となるはずだった。
彼女は日本のストリップ劇場や売春スナックを転々とする仕事をしていた売春婦だった。前年の十一月に、四国のある空港で職務質問を受け、不法滞在が発覚して逮捕された。通常なら、不法滞在だけならすぐに入管に送られ、一週間から十日程度で強制送還される。
ところが不運なことに、この年になってから処罰が厳しくなり、二年以上の不法滞在に対しては、当局が裁判で処分するようになった。不運は重なるもので、彼女は二年をわずか十日ほどオーバーしていた。それで起訴され、一月に裁判を受けるまで、通算三ヶ月の獄中生活を送ったのだ。
彼女とは一年ほど「恋人関係」だったわたしは、逮捕されたと聞いて、四国の警察署まで面会に行った。そのころは、もう関係は冷えていて、彼女には別の「恋人」がいたはずだった。だから、一週間で送還されるものと思っていたわたしは、最後に一度だけ会って、別れを言うつもりだった。
ところが、警察に行ってみると、誰も彼女に会いに来ていなかった。それもそのはず、彼女は同僚にさえ、自分の本名を教えようとはしなかったくらい警戒感の強い女だったから、面会に行くのに必要な彼女の本名を知っているのは、ごくわずかの人間だけだった。そのうえ、往復で五、六万円もかかる四国くんだりまで売春婦に面会に行こうという奇特な男はいなかったのだろう。
予想に反して彼女は起訴され、裁判となったために、拘留が長期化した。「助けて」という彼女の言葉にほだされ、わたしは二週間に一度、四国まで面会に行った。最後の方は、飛行機で行く金がなくて、深夜バスで往復した。彼女のコロンビアの家族とも連絡を取り、裁判の行方を報告し、相互のメッセージを伝えた。
ようやく一月に裁判の判決が出た。懲役一年、執行猶予三年だった。執行猶予がついた彼女は、即刻大阪の入管に移送された。大阪の入管で最後の面会に行ったとき、彼女は「あなた、いつコロンビアに来る?」と聞いた。わたしは「四月に休みを取って行く」と約束した。それで、はるか地球の裏側のコロンビアまで二日がかりでやってきたのだ。
彼女と付き合いだしたときから、いつかコロンビアに行ってやろうとは決めていた。日本にいるコロンビアーナたちなら何十人も知っていた。彼女たち売春婦の日本での生活ぶりなら、たいていのことは分かる。
しかし、その彼女たちが、コロンビア本国でどういう生活をしていて、どういう事情から日本に売春まで覚悟してやって来たのか。また、帰国してからどういう生活に戻ったのか、まったく本当のことは分からなかった。
タイやフィリピンの女のことなら、かなりの本が出版され、それなりのことは分かる。だが、コロンビアーナのことについては皆無だった。たまに雑誌などで書かれていても、お話にならないくらい表面的かつ間違いだらけの記事ばかりだった。いつかぜひ、この目で確かめてみたかったのだ。
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