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地球の裏側のコロンビアなど、いくら海外旅行が気楽に出来るようになったといっても、そうそう簡単には行けない。たとえ行ったとしても、何のツテもなくては、ただの観光旅行になってしまう。
フィリピンパブにいるフィリピーナは、店に来る初対面のお客さんにも簡単に本国の連絡先を教えてしまうが、コロンビアーナたちは特別な関係の男にしか教えない。
彼女たちの仕事は、「売春」がほとんどだ。本国に戻ったら、日本での汚い仕事はきれいさっぱり忘れて、幸せな家庭を作りたいと誰もが思っている。たとえ何かの拍子に、コロンビアでの連絡先を聞いたとしても、のこのこ会いに行ったら迷惑がられるに決まっている。わたしも何度も、そういう目にあった男の話を聞いている。
だが、エバとは通算二年間の付き合いがあった。何度も喧嘩別れしたが、最後の裁判騒動で、元の鞘に納まったはずだった。それに、一週間前の電話でも、必ず迎えに来ると約束していたのだ。
少し不安になって、彼女のアパートに電話してみることにした。彼女のアパートは、呼び出し電話になっていた。アパートの管理人が取り次ぐので、面倒な内容のスペイン語が分からないわたしに代わって、エレーナの隣りにいた男が電話をしてくれた。
男は電話を終え、「彼女は三十分前にアパートを出た。たぶん、道が混んでいるんだろう」と言った。それを聞いた片山氏は、「何やってんだ、ビッキーは。道が混むくらいのこと、ここに住んでんだから、分かってんだろう。早目に来て待ってるのが当然なのに」と少し怒ったように言った。「ビッキー」とは、エバの日本での源氏名だった。
コロンビアーナに限らず、ラティーナたちは必ずといっていいくらい時間にルーズだ。約束の時間にやって来ることは、まずない。エバも、いつも三十分くらい遅れて来た。しかし、この日はわたしが地球の裏側まで会いにやって来た特別な日だ。片山氏の言うように、早めに来て待っていて当然だった。実際、片山氏のワイフは空港で時間どおりに我々を待っていたのだ。
わたしの胸に、少し不安がよぎった。
すると突然、「オラ!」と言う声が聞こえた。エバだった。彼女はわたしの頬にキスをしたあと、片山氏の頬にもキスをして戻って来た。エバと片山氏も、以前から面識はあった。エバと六本木で遊んでいるときばったり会ったこともあり、わたしとエバの関係もよく知っていた。それで、エバが逮捕されたあと、その道の事情に詳しい片山氏に何かと相談していたのだ。
わたしはエバが遅れて来たのを片山氏たちに恥ずかしく思い、「エバ、遅いじゃないか」と怒って言った。エバは「ごめんなさい」とだけ言った。エバはエレーナとも挨拶し、しばらくの間、女同士で話していた。
片山氏たちは、そのまま国内線でカリブ海沿岸の有名なリゾート地、カルタヘナに行くことになっていた。カルタヘナはエレーナの出身地で、彼女と彼女の子供は、送還後はそこに住んでいた。
片山氏たちの出発時間が迫ったので、エレーナのお付きの男たちが荷物を運び出した。わたしの荷物にも手をかけたので、「ノー。わたし、カルタヘナには行かない。ボゴタにいる」と言った。エレーナはビックリして、「どうして。ボゴタ、何もないよ。面白くない。カルタヘナ、遊びいっぱいある」と、たどたどしい日本語で言った。
ボゴタが面白いかどうか、初めて来たわたしには分からない。とにかくわたしは、まずエバのいるボゴタを見る必要があった。二人だけで、じっくり話し合いたかった。エレーナには、「しばらくしたらカルタヘナに行くから」と言って断った。
先ほどの男がわたしの荷物をタクシーまで運んでくれた。エレーナの身内の者が親切にやってくれたのだと思っていたら、しっかりチップを要求された。それもドルでだ。身内などでなく、ただの空港にいるたかりの類だったのだ。
しかし、タイやフィリピンの空港のひどさを見慣れているわたしにとって、それほどしつこくなく自然な感じだったので、てっきりエレーナの身内だとばかり思っていたのだ。
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