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あるコロンビア売春婦と一年間恋人関係にあった私は、不法滞在で強制送還された彼女を追いかけてコロンビア本国に渡って彼女の家を訪ねた。そこで見たものは…
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 気がついたら、八時を過ぎていた。早めに夕食を摂らないと、食いっぱぐれてしまうおそれがあった。エバを揺り起こし、「食べに行くよ」と言った。彼女も事態を察したらしく、跳ね起きた。

 ホテルにもレストランはあったが、それではいかにも芸がないし、ここでは一番高級なホテルだけに、ほかで食べるよりも割増になると思った。昼食を摂った店もいいが、どうせなら街まで行って食べたかった。

「街まで行こうか」とエバに尋ねると、「遠い。さっきのジープのオバさんの店、すぐ近くにある。そこにレストランある」と言った。街まで出るとなると、十分ほど歩くか、車を呼ばなくてはならない。それをエバは面倒くさがったのだ。

 わたしはエバに妥協した。例のオバさん運転手の店は、ホテルのすぐ隣りにあった。しかし、薄暗くて、とても営業しているようには思えなかった。お客も誰ひとりいない。エバが声をかけると、運転手のオバさんが顔を出した。

 ビールを頼み、料理はエバに任せた。しかし、四品ほど出てきた料理の味は、いまいちだった。寂れているのも分かるような気がした。

「リュージ、あまりおいしくないね。ここ」

 エバも同じことを感じているらしかった。オバさんとエバが何やら話していた。そのあと、彼女が言った。

「リュージ、彼女、あんな高いホテル、キャンセルして、わたしのところに来なさいって。ここなら二十ドルでいいって」

「でも、あんまりきれいじゃないみたいだよ。それに明日の夜には、カリに行かなくてはならないだろ。断っておけよ」

「そうね」

 部屋までは見ていないが、ホテルというよりは、民宿みたいな感じだった。客は誰も泊まっていないように思えた。何日も逗留するつもりならいざしらず、一日だけなら、いまのホテルで充分。わざわざ宿替えするほどではなかった。

 

 


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フリーライター。国際版SNS30サイト以上登録してネットナンパで国連加盟国193カ国の女性を生涯かけて制覇することをライフワークにしている50代の中年。現在、日刊スポーツにコラム連載中(毎週土曜日)。
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