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朝早く起きていたこともあり、すぐにソファベッドでぐっすり眠った。エバの朝食の支度をしている音で目覚めた。
「オラ! おはようございます。眠る、できた?」
「うん。大丈夫」
朝食は、トーストと卵焼き、ミルクにコーヒーだった。といっても、コーヒーは相変わらずネスカフェのインスタントだった。
朝食を終え、ソファにもたれながらコーヒーを飲んでいると、エバがポツリと言った。
「もう、セックスしない。昨日、夢見た。日本での仕事の夢。もう、嫌だ。忘れてたのに。あなたとセックスしたから思い出した」
「……」
エバが受けた心の傷は、想像以上に深かったのだ。心の絆を取り戻そうとしてセックスしたのに、かえって逆効果だったのか。しかし、わたしが無理矢理やったわけではない。エバの方から持ち掛けてきたのだ。
「やっぱり、今日は一人でカルタヘナに行くことになるのかな」
わたしは心の中でつぶやいた。今回の旅は、エバと行くことに意味があった。どこに行くかということは関係なかった。帰りのチケットはフィックスしてある。オープンではない。残りの一週間をエバなしで過ごさなくてはならないかと思うと暗澹たる気持ちになった。
「リュウジ、今日、どこに行く」
エバは意外なことを言った。すぐにでも旅行代理店に連れて行かれ、カルタヘナに送り出されると思っていたのに、まだわたしと一緒にいるつもりなのだ。あんなことを言ったものの、エバの心の中は揺れ動いているのか。
「そうだな、モンセラーテに行きたい」
モンセラーテというのは、ボゴタ市内にある小山で、市内とは標高差五百メートル。頂上に白い教会があり、ボゴタ市内を眺望できる観光スポットである。東京で言えば、高尾山のようなものである。「地球の歩き方」やパンフレットで紹介されていたから、一度行きたかったのだ。
「オーケー。あなた、車を運転できる?」
「えっ?」
「わたし、タクシー持ってる。それ、パンクしてる。直したら、車で行く、できる。タクシー高い。もったいない」
アメリカやオーストラリア、ヨーロッパに行くならレンタカーを借りることもあるかもしれないので、国際免許証を用意することも考えた。でも、コロンビアだ。車を運転する機会などあるはずがないと思い込んでいて、用意してこなかった。
「ノー。インターナショナルのライセンス、持ってきてない。だから、運転できない」
「そう? じゃあ、タクシーで行く」
シャワーを浴びてから、エバと部屋を出た。彼女は一階ではなく、地下のボタンを押した。地下は駐車場になっていた。
軽くシャワーを浴びて、彼女の部屋に戻ると、エバはパンティーを付け、すっくと立ち上がって言った。
「気持ちよかったよー。でも、イクない。いまのわたし、イクむずかしい」
エバはいつもセックスのあと、「気持ちよかったよー。ふんふん」と節をつけて歌っていた。だが、今日の彼女の表情には笑みがなかった。
彼女はイクのに、けっこう時間がかかるタイプだった。初対面でもすぐに本気でイッテしまう好きものの女もいることはいるが、劇場の仕事をしていると、多いときには一日で数十人の男を相手にしなくてはならない。従軍慰安婦みたいなものだ。身も心も疲れ果てている。
そんな晩でも、彼女は「お客さんとセックスするのは痛い。でも、あなたとなら痛くない」と言って、何度でも求めに応じてくれた。
だが、そういうときは、なかなかイカなかった。体が疲れていたからだろう。エバが激しく燃え上がるのは、本番のない劇場や客の少ないスナック、休みを取っていたときくらいだった。会ったときから「受け入れ態勢」が整っていたのだ。
今回も、彼女にとっては半年ぶりのセックスのはずだった。体はセックスを求めていたはずだ。それでも、最後までイクことはできなかった。
「あなた、向こうで寝る。オーケー?」
今晩は彼女のダブルベッドでいっしょに過ごすものとばかり思っていたわたしは、少しショックを受けた。リビング戻ると、ガチャリとドアを閉める冷たい音がした。今度は鍵をかける音はしなかったものの、夜中に無理矢理彼女のベッドに潜り込む気にもなれなかった。まだまだ、彼女とわたしの間の心の溝は埋まっていなかったのだ。
エバのパンティを剥ぎ取ると、彼女の陰毛が目に入った。意外にも陰毛が伸びていた。日本にいるコロンビアーナたちは、自分の陰毛を短くカットしている。ほとんどゴルフのグリーン並みの短さだ。「長いと恥ずかしいの。これがコロンビアスタイルよ」とエバは言っていた。
それが伸びている。エバが「ずっとセックスしていない」と言っていたのは本当だったのだと、それを見て確信した。男としょっちゅうセックスしているなら、こまめに手入れしているはずだからだ。
硬直したペニスを一気に突き刺した。エバが「アッ」という声を上げた。生温かい彼女の粘膜が、わたしのペニスを包んだ。ここまでくれば、もう後戻りはない。わたしは腰を動かしながら、ゆっくりとエバのセーターをたくし上げ、ブラジャーを取って全裸にした。
エバのバストはEカップくらいとでかいが、肉質は固い。ツンと上向いている。日本にいるときから「コロンビアに帰ったら、シリコン入れてもっと大きくするの。あなたびっくりするわよ」と言っていたが、そんなことをする必要はさらさらなかった。
少し太り気味で、お尻も大きかったが、肉がたれていないので、抱き心地がよかった。ほかの女なら一晩に一回しかできなくても、彼女といっしょに寝ていると、息子が反応して三回でも四回でも可能だった。
その感触を久しぶりに味わった。彼女とは、一年数ヶ月の付き合いの中で、何百回とセックスをした。人生の中で一番密度の濃いセックスをした相手だった。だから、一回セックスをすれば、彼女を身も心も取り戻せる自信はあった。
三十分ほど彼女と愛し合った。もう限界だった。エバに「イクぞ」と声をかけると、「オーケー。でも外でね」という答えが返ってきた。
エバとは付き合い出した当初から膣外射精だった。初めてセックスするとき、入れる寸前に「あなた、病気ない?」と聞かれたが、「ない」と答えると、それを信じてくれたのか、いつも生でしていた。
コロンビアーナたちは、東南アジアの女たちに比べると、エイズに対する恐怖心が強く、必ずコンドームを要求する。中にはピルを飲んでいて、客付きをよくするために生でさせる女もいないではないが、「いくらお金儲けても、エイズや病気になったらコロンビアに帰っても病院のお金で消えちゃうでしょ。そんな女はバカ」と言って、大多数の女から軽蔑される。生でさせるのは、特定の恋人だけである。生でオーケーということは、彼女に特定の恋人と認められた証拠でもあった。
しかし、いくらコンドームをしていても、ときどき破れてしまうことがある。エバにもそんなことが何度かあったらしいが、彼女はこまめに病院で検査を受けていた。コロンビアに帰っても、いの一番に全部の性病の検査を行って、異常なしだったらしい。だから、安心して生でできたのだ。
イク直前に、わたしのものを抜き出し、エバの腹の上に、溜りに溜まったものをぶちまけた。彼女の臍の周辺を、大量のザーメンが、どろりとした粘着力で覆った。エバは無言でそれを枕元のティッシュで拭った。日本で付き合っていたころは、いつもザーメンの量をチェックし、少ないと「どこで浮気した!」と怒ったものである。
わたしはやりきれない気持ちになり、ウイスキーを取り出して、ストレートでぐいっとやった。もうエバのことは吹っ切ろう、明日にでもカルタヘナへの航空券を買い、別れを告げようという気持ちになったのだ。
ついでに夕方買ったコロンビア製の睡眠薬のカプセルを一錠取り出し、飲んだ。もう眠ってしまかった。
「だめ、お酒とクスリいっしょに飲む、だめ。わたしのお父さんも、いつもクスリとお酒いっしょに飲んでた。それで心臓発作で死んだ。あなたも気をつけて」
エバの父親は、彼女が十九歳のときに死んだと聞いていたが、心臓発作で死んだというのだ。しかし、わたしの体のことを本気で心配してくれるのはうれしかった。
エバも少しウイスキーを飲み、顔が赤くなった。
「あなた、イタリアのお姉さんへの国際電話のお金払ってくれる。二百ドル。それプレゼントしてくれたら、今晩セックスしてもいい」
「二百ドル?」
「そう」
「エバ、あなた、まだプータ(売春婦)なのか。ビッキーなのか」
「ノー。ビッキー死んだ。わたし、いま仕事ない。少しお金ある。でも、あとどうする。心配。だから、あなた助けて」
また金の無心だ。しかし、ここで拒否したら、「ダイヤモンドプレゼント事件」のときの二の舞だ。エバにそこまで言われたのに、コロンビアくんだりまで来て、何もしないで帰る気にもなれなかった。
「オーケー。プレゼントする」
わたしは財布から百ドル札二枚を抜き取り、エバのベッドに置いた。
エバはベッドの上に横になり、誘うようなしぐさを見せた。わたしはエバの上に覆い被さり、セーターの上から彼女の乳房を揉みしだきながら、キスをした。拒否はしない。
次第に局部が硬直してきた。そのまま硬直したものを、彼女のジーパンの上からエバの局部にぐいぐい押しつけた。同時にセーター、ブラジャーをたくし上げ、エバの乳首を口に含んで転がした。エバは「ウフッ」という喘ぎ声を出し始めた。ズボンとシャツを脱ぎ捨て、パンツ一枚になった。
頃合いと見たわたしは、一気にエバのジーパンを剥ぎ取り、パンティーの中に手を入れ、バギナを確かめた。もうエバのあそこはトロトロに濡れていた。こんな短い愛撫で彼女のバギナが濡れているのは久しぶりだった。
付き合い出した当初は、ホテルに入って服を脱ぐと、もうそれだけで彼女は濡れていた。その日、何人の客とセックスしていようと、わたしと会うときは、何日もセックスしていないかのように彼女のあそこは求めていた。
しかし、何ヶ月も付き合っていると、前戯なしでいきなりセックスすることが多くなった。エバはわたしのペニスに唾をつけ、挿入した。それでもやっているうちに濡れていき、彼女は十分達したので、彼女の蜜があふれているのを見るのは実に一年ぶりだった。
あまりにも濡れているのを知られて恥ずかしかったのか、「わたしだって、本当はセックスしたい…」とエバは言い訳した。彼女は二百ドルの話を口にしたときから、実は濡れていたのかもしれなかった。金の話を持ち出したのは、セックスするきっかけが欲しかった。いわば“免罪符”が欲しかっただけなのかもしれなかった。
わたしはエバがコロンビアに帰っても、コロンビアーノとは当分付き合えないと思っていた。付き合うとしても、長続きはしない、結婚は絶対しないと思っていた。いったん日本での出稼ぎの味をしめた女は、コロンビアーノたちの甲斐性のなさでは長続きするはずはないと思っていたからである。
エリート中のエリートならともかく、普通の仕事をしているコロンビアーノなら女房、子供も満足に養えない。金銭感覚が日本で麻痺してしまった“ジャパゆきさん”には、満足できるはずがないからだ。
事実、日本に出稼ぎに来ているコロンビアーナたちの半数以上は、離婚経験者ないしは未婚の母だ。怠け者の男に愛想をつかし、引き取った子供を母親に預けて売春の仕事を承知の上でやって来る。「コロンビアの男は、もういらない。結婚するなら日本人の男がいいよ」という言葉を何人ものコロンビアーナから聞いていた。もちろん、損得勘定があってのことである。
だが、エバの場合は未婚で子供もいなかったし、来日以前に付き合っていた男も一人だけだった。愛想をつかすほどの愛憎劇があったわけではない。日本での出来事を忘れたいがために、反動でコロンビアの男を愛そうとしたのではないか。わたしはエバから、そんな気持ちを感じ取った。
彼女の部屋には、わたしがプレゼントした京人形や日西辞典など、探せば「ジャパゆきさん」の痕跡はいたるところにある。よほどの馬鹿でない限り、そのうち気づくだろう。それに、結婚したとしても、彼女のお姉さんたちと親戚付き合いすれば、ばれてしまうはずだ。
父親が金持ちで、その遺産をもらって高級マンションに住んでいるなら、どうしてリリアナやパルミラにいるほかのお姉さんたちが貧しいのか、説明がつかない。たぶん、いまは熱くなっていて、そんなことまで気が回らないのだろう。
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