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「リュージ、わたし、ウニベルシダード行く。あなた、ここにいるでしょ」
「うん。ここにいる」
前々日に大学に行ったとき、学長が不在で、二日後に大学に行くといっていた。今日がその日だ。話は符合するが、本当に大学に行くのかどうかは怪しかった。本当は恋人と会うために外出するのではないのか。あるいは恋人といっしょに大学に行くのではないか。もう勝手にしろ、という気持ちになった。
一回セックスしたら、エバの心を取り戻せると思っていたが、かえって彼女の心の傷を深くしてしまったらしい。この先どうなるのか、わたしといっしょにサンアングスティンやカルタヘナに行くのか、それとも明日にでも放り出されるのか、まったく読めなかった。
一人部屋に取り残されたわたしは、彼女のベッドルームでテレビを見ながら過ごすことにした。時差ぼけがまだ抜けず、少しうとうとしていると、電話が鳴った。誰からだろうか。まだエバの電話番号を知っている者は少ないはず。エバがかけてきたのだろうか。
しかし、エバの恋人だったら問題になる。怒った男がこのアパートに乗り込んできて、暴力沙汰にでもなったら…。それよりなによりエバとの関係がとり返しのつかないことになる。
電話をとるかどうか躊躇していると、五、六回で電話は鳴り止んだ。すると再び電話が鳴り出した。しつこく鳴らすのなら恋人に違いないと確信し、とるのを止めた。やはり五、六回で電話は鳴り止んだ。
しばらくすると、エバが戻ってきた。九時ごろだった。
「リュージ。あなた、ここにいたの。電話したのに、どうして出なかった?」
「なんだ、電話したの、エバだったの。誰か分からないでしょ。あなたの恋人だったら、あなた怒る。だから出なかった」
「そう…」
何か用があったのか。わたしの答えに不満そうな、ほっとしたような複雑な表情を見せた。おそらく恋人と一緒にいて、別れた直後にわたしにかけてきたのだろう。
「エバ、大学はどうなったの」
「まだ、分からない」
いくらいいかげんなコロンビアでも、こんなに何度も大学に出かけて結果が分からないというのはおかしい。それに夜間大学でもないのに、昼間ではなく夜に行くというのもおかしな話だ。やはり恋人と会っているのだろう。だから、恋人が絶対電話することはないと分かっていたから、別れた直後に電話したのではないか。だが、わたしにはそれ以上詮索する気にはなれなかった。
「リュージ、わたし、疲れた。あなた、ソファで寝る、オーケー?」
「……」
また、一人寝をする羽目になってしまった。わたしはリビングに戻り、ソファベッドで持参した文庫本を読みながら、いつしか眠っていた。
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