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しばらく待っていると、女が二人出てきた。クリスかなと思ったら違う。こちらの車を通り過ぎ、イラン人たちの車に乗りこみ、走り出した。女が二人に男が三人。人数が釣り合わない。乱交でもするつもりだろうか。そうでなければ、女の奪い合いで、友だち同士でケンカになるかもしれないのに。
次に、クラウディアらしき女が一人で出てきた。劇場の向かいの駐車場に、知らないうちにバイクの男が待っていて、それに乗ってヘルメットも被らずに走り去った。男の顔はよく見えなかったが、こちらもイラン人かもしれない。恋人と別れて落ち込んでいたはずのクラウディアも、しっかりデートはやっているらしい。
もう一人のイラン人は、相変わらず車から出たり入ったり、チョロチョロしている。なかなか出てこないのに焦れたのか、コンビニの前にある公衆電話で電話をかけた。たぶん、楽屋にかけたのではないか。
十二時近くになって、女が四人ほど出てきた。道路の反対側を通って、まっすぐ四人はイラン人の所へ行った。その中に、クリスがいた。なんだ、こっちに頼んでおきながら、イラン人にも話をつけていたのか、腹が立つ奴だなと思った。
窓を開け、腕でバツを作り、「帰るよ」と言うと、クリスが気づいて寄ってきた。「新宿へ乗せてって」と言う。「なんだ、クリスはあのイラン人とは深い関係ではなくて、別々に分かれて行くんだな」と思ったら、残った三人のほうに何やらスペイン語で声をかけた。すると、イラン人をほっておいて三人ともこっちへ来てしまった。あれ、あれ、あのイラン人は何だったのだろうか。
「一人はN市のママの所に行くから、N市経由で新宿まで乗せていって」とクリスが言う。かなり遠回りになるが、こうなったらしょうがない。「あのイラン人、誰かの恋人じゃないのか。どうするんだ」と聞くと、「イラン人、危ない。話だけ」とクリス。「ふーん、あれだけ待たされて、何十秒か話しただけ。かわいそーに」と思ったが、イラン人といっしょだと、何かと危険が多い。
イラン人の運転する車に乗っていて、検問を受けたら全員パクられてしまうだろう。最初はイラン人の運転する車で新宿まで行くつもりだったのかもしれないが、クリスがわたしに声をかけてキープしておいたので、安全なこっちに乗り換えたのだろう。
ともかくも、あまり劇場の近くに長居したくはないので、車をスタートさせた。助手席には、わたしに声をかけたクラウディアが座り、後部座席にほかの三人が座った。N市で降りるという女の名前は忘れてしまったが、あとの二人がエバとジェニファーだった。クリスを含めて、エバ以外は初めて見る顔だった。四人の中で、一番日本語が分かるのはクリスだ。実はクリス、本当の芸名はクラウディアというらしい。同じ劇場にクラウディア同じ芸名の女が来てしまって、ややこしいので彼女を一時的にクリスと名付けたのだという。
N市には少し迷ったが、二十分ぐらいで無事着いた。外人を乗せていると、つい運転が慎重になる。スピード違反で取り締まられたりしたら、いっしょに乗っている彼女たちも、ついでに職務質問されはしないかという不安があるからだ。もちろん、事故なんかとんでもない。仕事に穴をあけさせたら、劇場の連中が黙っていないだろう。
一人のコロンビアーナをN市駅の東口から数百メートルの所で降ろした。母親が日本に来ているという話はよく聞いた。半分ぐらいのコロンビアーナは、子持ちだ。たいてい、男が働かないから離婚して、子供は母親に面倒を見てもらいながら自分が働いて子供を育てている。
日本に来るのは、向こうでろくな仕事がなく、日本に来れば短期間で家が一軒楽に買えるぐらい稼げるという話を人伝に聞いているからだ。そして、借金も返し終わり、ある程度金がたまると母親や子供を呼ぶ。それまでに、一年はかかっている。
子供の顔はどうしても見たい。でも、いったん帰ると入管がうるさくて、いつ日本に戻って来れるか分からない。最低、二年は日本で稼がないと、家を買い、店を持つなどの自分の夢を実現することができない。彼女の場合も、短期間か長期間か分からないが、少しお金に余裕ができたので、観光旅行がてら日本に母親たちを呼んだのではないか。
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