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朝の六時ころ、モーニングコールの電話で起こされた。エバに受話器を渡した。電話を切ったエバに、「起きなきゃ」とせかすと、「わたし、まだ眠たい。お昼の飛行機にした」と言い残して、またエバは横になった。
まったく勝手なやつだ。しかし、わたしとしても疲れが残っていたので、そのまま眠るのは好都合だった。
九時過ぎに起き、エバがヘアドライヤーで髪をセットしているとき、突然バチッという音がして、ドライヤーの音が止まった。故障したらしい。
「リュージ、ヘアドライアー壊れた」
コロンビアの電圧は百十ボルトである。日本の電圧は百ボルトだから、さほど日本より少し高いが、ほとんどの電化製品はそのまま使える。彼女のヘアドライアーも日本で買ったものだったから、長くコロンビアで使っていて、コイルが切れたのかもしれない。
「リュージ。これ直して。これないとわたし、困る」
「そんなのあとにしろよ。あとで電気屋で見てもらえばいいだろ」
「分かった」
ホテルは十時過ぎにチェックアウトした。飛行機の時間までは、まだかなりの時間がある。ホテルのフロントに荷物を預け、カメラなどの貴重品だけ持って、街に出た。
昼間見てみると、ネイバの町は、やはりけっこう大きかった。十時過ぎとあって、ほとんどの店が開いていて、人通りもかなりのものだった。車の通行量も多い。
まず、開いていたレストランで朝食を摂り、旅行代理店のオフィスに寄って、飛行機のチケットを購入した。ついでにカードでキャッシングが出来るか聞いてみると、出来るという。女性の事務員にパスポートを見せて身元確認をしていると、わたしが日本人だと知った五十歳くらいの所長らしき男が出てきて、人懐こそうにわたしに英語で言った。
「おお、あなたは日本人か。だったら、ドクター・●●を知っているか。彼は前にこの町に来たんだ。ちょっと待って、彼の名刺はこれだ。彼は科学者で、鉱山の研究でやって来たんだ。いい人でね……」
と、延々十分くらい話し続けた。最初は、何か魂胆があって話しかけてきたんじゃないかと勘ぐってみたが、どうやら単に話好きのおっさんのようだった。英語が喋れるからコロンビアでもインテリの部類に入るのだろうが、田舎の人間は人が好いという典型みたいだった。
「セニョール。わたしたち急いでいるんですけど」
「そうだったね。ごめん、ごめん」
エバが業を煮やして話をさえぎったので、ようやくわたしは開放された。二十万ペソと飛行機のチケットを受け取ると、わたしたちはそそくさとオフィスを後にした。
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