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「お姉さんに電話してくれた?」
「ノー、まだ。明日、裁判見に行くでしょ。そのあと、夜に電話する」
突然、エバの表情が変わった。
「ノー。ダメ」
「わたし、裁判、初めて。だから恥ずかしい」
「だって、裁判がどうなるか見ないと、お姉さんに電話できないでしょ」
「……」
わたしの主張に、エバは渋々納得した。
「リュージ。わたし、冬の服、前に全部コロンビアに送った。だから、今度帰るとき、服ない。だから、『コットン』欲しい。お願いします」
「コットン?」
綿がどうしたというのだろう。言っていることがよく分からない。服が欲しいというのは分かったが、それがなぜ「コットン」なのか分からなかった。
「彼の服にちょっと似てる。黒い、長い」
エバは刑務官の着ている制服を指差していった。どうやらコートが欲しいと言っているようだ。
「それ、コートのこと?」
「そう」
「でも、コートは高い」
「だいじょうぶ。安いのでいい。二千円、三千円」
コートなら、どんなに安いバーゲン品でも、一万円はするのではないか。またまた出費させられるのかと思うと、頭が痛くなった。
「わたし、自分のお金で買いたい。でも、ここでは出来ない。だからお願いします。エレガントのね」
「エレガント?」
「そう、エレガント」
最後の最後まで贅沢言っている。これには刑務官も苦笑した。
「オーケー。今度ね」
「ノー。明日」
「明日? 明日は出来ない。明日は裁判でしょ。話は出来ない。見るだけ。たぶん、あなた、明日イミグレーションにチェンジするから、今度イミグレーションに行く」
「ホント?」
エバが刑務官に尋ねた。
「普通はそうですね」と彼は言った。
「だから明日はプレゼントできない。分かった?」
「分かった。待ってるね」
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