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「これ何?」
エバはわたしが持っていた腹巻き状の貴重品入れを見つけて尋ねた。
「これ。お金やパスポートのように大事なもの入れておくやつだよ。ドロボウに盗られないように」
「どうしてあなた、これ、日本のイミグレーションでプレゼントしてくれなかったの」
「どうしてって、あなた欲しいって言わなかったろ。そういえばお金大丈夫だったの。問題なかったの」
「大丈夫。わたし、アメリカのイミグレーションに泣いてお願いした。このまま帰ったら、お金全部コロンビアのイミグレーションでドロボウされる。そう言った。そしたら、パスポート返してくれた。アメリカのイミグレーションの男優しかった」
「何もされなかったの。代わりにレイプされるとか」
「ない、ない」
強制送還でコロンビアに帰る場合、コロンビアの入管で拘束されて調べられることがあるらしい。場合によっては何日か泊められる場合もあるという。その場合、大金を持っていたら没収されてしまう。というより、入管の職員が役得として巻き上げてしまうのだろう。開発途上国ではよくあることだ。
エバは逮捕されたときに貯金通帳と現金合わせて約三百五十万円持っていた。普通は自主的に帰国する場合は必要最低限のお金以外は事前に送金してしまっているし、捕まった場合も細めに送金しているからそんなに多額の現金を所持していることはない。万一、入管職員にたかられても苦にならない程度の現金しか所持してないのだ。
エバも以前だったら細めに送金していたのだが、忙しくて送金する暇がなかったのか、それとも送金を手伝ってくれるくらい信頼のおける男がいなかったのか。捕まってから、彼女から面会の際に、代わりにお姉さんの口座に送金してくれと頼まれたが、結局手続きができなくて、彼女は自分で現金を所持して帰国するはめになった。
警察の段階では、そういうことは入管が代行すると言われた。入管に移されてからは時間がないからできないと言われた。あとから聞くと、警察が「あの男に金を渡すとドロボウされるからやめろ」と言っていたらしい。まったく腹が立つ話だ。
そりゃ、三百五十万円はわたしにとっても大金だが、エバとの信頼関係はそれに代えられないものがある。もし目の前に三百五十万円が積まれたらチラッとそういう気持ちがわいたかもしれないが、わたしはコロンビアに送還されたエバに会いに行くつもりだった。そんなことをしたら、金が届いていないことなどすぐに分かるし、するはずがない。
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