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明け方ようやく眠ることが出来て、気がついたら九時だった。あわてて電車に乗り、十条に向かった。入管に着いたのは、十一時半だった。もう午前中の受付は終了していて、五十歳過ぎのラテン系らしきオバさんが、午後からの面会時間が始まるのを椅子に座って待っていた。
午後からの受付は、一時からだ。一時間以上ある。どうしようか迷っていると、オバさんは「この紙に書きなさい」と教えてくれた。面会の申し込み用紙である。
「ここにいるのか分からないんだけど」と言うと、「とりあえずここに書きなさい。いるかいないか分かるから」とアドバイスしてくれた。面会は申し込み順らしいので、早く書いておくのに越したことはないと思って、必要事項を書いて受付に出した。
ふと壁を見ると、差し入れなどの制限品が書き出してあった。急いでいたし、ここにいるかいないか分からなかったので、何も買ってきていない。もしいたら、何か差し入れしたかった。オバさんに「あとで来る」と言い残して入管を出た。
近所のコンビニで、バナナとみかんを買った。入管の壁には「ナイフを必要としない果物」との一項があったからだ。スペイン語の本か雑誌も差し入れたかったが、探している時間がなかった。
昼食を摂って、一時十分前に入管に戻った。面会者は二十人以上に増えていた。フィリピンやパキスタン、さっきのラテン系のオバさんのほかに、日本人の男女も何組かいた。わたしと同じように、外国人の不法滞在者と恋愛していたのだろうか。
一時きっかりに窓口は開いた。午前中に申込書を出しておいたので、十分ほどでわたしの順番が回ってきた。窓口の女性に「ここにいるかどうか分からないんですけど」と言うと、「免許証か何かを提示してください。調べて収容されていれば面会できます」と答えた。
数分して、わたしは窓口に呼び出された。
「そういう名前の方はいませんね」
女性の係官は拘留者のリストを見ながら言った。
「じゃ、ほかの入管に収容されている可能性はありますか」
「ありますね。でも、ここでは東京入管が管轄している部分しか分かりません。電話番号をお教えしますので、問い合わせてください」
十条には、エバはいなかった。入管に来れば、たとえここにいなくても、どこにいるか分かるだろうと思っていたのだが、管轄が違うと把握していないらしかった。心配そうにわたしを見つめていたラテン系のオバさんに「いなかった」と告げて、わたしは入管を去った。
どうしていいか分からなかった。とりあえず、羽田空港を管轄しているという横浜入管に電話をしたが、分からなかった。羽田ではないのか。わたしは昨晩会ったクラウディアに電話した。
「リュージ、ごめんなさい。電話しなくて。エバはM空港で捕まったらしいよ」
「M空港?」
「そう。あなたエバに会いに行く?」
「今日は無理だよ。遠いし。明日から日本にはいないから、帰ってきてから行く」
「分かった。もし会ったら電話ちょうだい」
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