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M空港は四国にあった。エバと付き合い始めたころ、彼女はこのM市にある劇場に派遣されたことがあった。十日間の仕事を終え、東京に戻ってきたエバを、わたしは羽田空港まで迎えに行ったことがあった。一人で帰って来れるのか心配だったが、そのときは、二人の日本人の踊り子さんとにこやかにゲートを出てきた。十日間いっしょに仕事をした同僚で、同じように関東に移動するので、同じ便で乗ってきたらしいのだ。
そのM空港で彼女は逮捕されたらしい。東京からM市に行くところだったのか、それとも戻るところだったのか。それは音信普通だったため、分からない。とりあえず、どこに収容されているのか調べるため、四国全体を管轄している高松入管に電話で問い合わせた。しかし、彼女の本名に該当する人物は収容されていないという。
入管の担当者は、「まだ、警察にいるのかもしれませんよ。こちらでは、警察から送られた人間しか把握できませんから」と付け加えてくれた。それで、一〇四でM空港の派出所の電話番号を聞き、問い合わせた。
空港の派出所の警官は、「あー、そういう事件はありましたね。いまは西署に拘留されているんじゃないですか」と教えてくれた。ついでに西署の電話番号を聞き、留置係りに問い合わせた。
「あの、わたし、東京の出町というものですけど。また聞きなので、確かかどうか分かりませんが、こういう名前のコロンビア女性は拘留されていませんでしょうか」
「ああ、いますね」
答えられないと言われるのを覚悟していたが、あっさり教えてくれた。やっぱりエバは、M空港で捕まっていたのだ。
「彼女はいつまでそこにいるのでしょうか。面会に行きたいんですけど」
「ええと、まだ逮捕されて五日ですね。すると、今週の土曜日に起訴するかどうかの決定が出ると思います。それまでは、ここにいると思いますが」
「面会は、土曜・日曜は出来ないのですね」
「ええ、休みです」
「実は明日から海外出張で日本にいないのです。帰ってくるのは、金曜日か土曜日になると思います。土曜日に問い合わせは出来るのですか」
「留置係りに電話すれば、処分の結果は分かると思いますよ。ただ、その時点で拘置所に送られているか、入管に送られているかは分かりませんが」
「分かりました。電話します」
わたしが戻ってくるまで彼女が日本にいることは分かった。その時点で入管に送られていたとしても、少なくとも一回は面会できるだろう。気持ちが少し落ち着いた。だが、ひとりぼっちで留置場に入れられているエバのことを思うと、一日でも早く手を差し延べたかった。わたしは信頼できる友人に頼み、下着類を買って、面会に行ってもらった。その友人は、わたしがエバと付き合い出したころにいっしょに酒を飲んだことがあり、彼女も覚えていると思ったのだ。
わたしは彼に、一言だけ伝言を頼んだ。
「テ・アモ(愛している)」と。
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