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二階のフロアーに上がると、レコード店が二つほどあった。どれも小さい。コロンビアには、まだ「タワーレコード」や「HMV」のような大型レコード店はないようだ。CDの値段が一般物価に対してかなり高いのだから、まだまだ経営が成り立たないのだろう。
ここでもカロリーナのCDがないかどうか聞いてみた。店員に歌の題名を見せても首を傾げている。エバがメロディーを口ずさんだら、店員は「ああー、分かった」という顔をした。だが、「そんな古いの、もうないよ」と言われた。古いといっても二、三年前の曲だろう。こんな小さい店では、在庫を豊富に揃えておくのができないだけなのだろう。
別の一軒にもなかったので、一服するために軽食コーナーに行った。ハンバーガーやフライドチキンとなど、アメリカ的なファーストフードの店の中に、コロンビアらしい軽食の店もいくつかあった。
エバが「エンパナーダス食べない?」と聞いてきた。エンパナーダスとは、挽肉に玉ねぎの微塵切り、香辛料などを混ぜ、餃子の皮みたいなものに包んで揚げた、コロンビア風ピロシキのようなものである。日本でも何度も食べていて、好きなメニューの一つだったので、もちろんオーケーした。
数分して、十個ほどのエンパナーダスとコーラが運ばれてきた。日本で食べたものとは少し味付けが違うが、まあまあいける。
「エンパナーダスにも、ボゴタとカリ、メデジン、コスタ(地中海沿岸地帯)とは味が違うのよ。お店によっても違うし」
「エバはできるのか、これ」
「できない」
エンパナーダスに似た食べ物は、コロンビアだけでなく、ペルーやブラジルなど、ほかの南米諸国にもあるようだ。もちろん、味はかなり違っている。日本でも、その地域によって味噌汁や雑煮の味が違うように、広いコロンビアなのだから、エンパナーダスの味が違うのも当たり前だろう。いずれ、その土地土地の味を食べ比べてやろうと思った。
「お姉さんにエンパナーダス、お土産に持っていきたいんだけど、いい?」
「いいよ」
「じゃ、お金ちょうだい」
「いくら」
「五千ペソ」
お姉さんたちには、すでにウイスキーやタバコ、女の子用に歌舞伎模様のTシャツなどを用意している。それなのに、まだお土産なのか。でも、まあ、エンパナーダスくらいならいいかと思い直し、エバに金を渡した。
洋服店に戻って服を受け取ったあと、出口の方に向かおうと歩いていると、今度はエバが婦人服店の前で足を止めた。
「ちょっと見る。オーケー?」
しょうがない。店内に入ったがわたしは手持ちぶさたなので、店員のおばちゃんに差し出された椅子に座って、エバが品定めをしているのを眺めていた。エバはセーターをあれこれ物色している。
しばらくしてエバが寄ってきて、こう言った。
「ねえ、もうすぐわたしの誕生日。だから、セーター、プレゼント。お願い」
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