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エバが「こっちよ」と言いながらすたすたと歩き出した。歩くのが嫌いなエバが歩くのだから、よほど近いのだなと思った。日本にいるとき、彼女はとにかく歩かなかった。ほんの四、五百メートル先のところへ行くにもタクシーを利用したがって閉口した。「近いと乗車拒否されるから歩こう」と言っても理解されず、逆に「ケチ」と言われた。もちろんオーバーステイしていたから不審尋問されるのを恐れていたということもあるが、それを割り引いても歩くのを億劫がった。
これは別に彼女だけに限ったことではなく、開発途上国の人間に特有のものではないかという気がする。例えばタイやフィリピンなどではシクロやジプニーなどのように、日本円で数円単位で乗れる公共交通機関が存在する。タクシーやバスなどは中・長距離用、数百メートルから一キロくらいの近距離はこれらに乗るという使い分けをしている。もちろん金のない人間は長距離にも利用するのだろうが、シクロやジプニーを利用すれば、ほとんど歩くことはないのだ。
コロンビアには、これらに相当する極端に安い乗り物はなかった。むしろコロンビアでは歩くこと自体が強盗などに遭う危険があるため避けているのではないだろうか。
しばらく歩くと、エバが立ち止まり、一軒のレストランを指差した。「ここオーケー?」。別にどこでも不服はないが、さっき言っていた中華レストランとはどう見ても思えない。
「エバ、これレストランテ・チノ?」
「ノー。ここ、コスタのレストランテ。ペスカード(魚)ある。大丈夫?」
「ああ、大丈夫」
何の気まぐれかしらないが、ほんの数分で行き先が変わってしまった。コロンビアーナらしいと言えば言えるが、いったい何を考えてるんだろうと思ってしまう。
店員が持ってきたメニューを見ながらエバが適当に注文した。しばらくすると、平目のような魚をカリカリに揚げた料理とスープ、ライスが出された。メインディッシュである魚には、日本のコロンビア系レストランと同じようにフライドポテトとトマトを薄切りにしたものが添えてある。
「おいしい?」
エバが聞いた。
「おいしいよ」
実際おいしかった。コロンビア料理は、やはり日本人に合う。東京のラテン系ディスコではペルー料理を出す店もあるが、コロンビア料理と似ていてもやはり違う。ましてや同じ中南米でも、メキシコやブラジルの料理となると、天と地ほども違う。その中で、コロンビア料理は地域によって味は違うにせよ、肉が硬いことを除けば基本的な味付けは食にうるさい日本人をも納得させるものだと思う。
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