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味はまあまあだった。野菜や魚など、やはり日本のものではないためか、微妙に味が違った。それよりも量が多すぎるので、半分食べたところで満腹になってしまった。もったいないので、マスターに持ちかえりが出来るかどうか聞いたところ、大丈夫だという。
それがきっかけで、マスターが「旅行ですか」と話し掛けてきた。ボゴタの在留邦人は少ないので、ほとんど顔なじみなのだろう。
「ええ、そうです。コロンビアは初めてです。何日かボゴタを回ったので、明日からサンアグスティンに行こうと思っているんですが、危なくないですか。ゲリラとか強盗とか」
「確かにないといえば嘘になりますが、そんなのは飛行機事故に遭うようなものですよ。バスだって、全国で毎日、何千本も走っているけど、強盗に遭うのは年に数回ですよ。最低限のことさえ気をつけていれば大丈夫ですよ。サンアグスティンですか。わたしも昔、行きました。いいところですよ。写真、見せましょうか」
マスターは、カウンターからミニアルバムを引っ張り出してきて、石像などの写真を見せてくれた。
「何日くらい行くのですか」
「サンアグスティンは、一泊二日のつもりです。あとはカリと彼女のお姉さんのいるパルミラに行くつもりです」
「そうですか。本当は、サンアグスティンを全部見るには三日必要なんですよ。広いですからね。一日目は、歩いて博物館やパークを見て回る。二日目は、ジープのツアーで周辺の遺跡を見て回る。三日目は、馬に乗って見て回る。一泊二日だと、もったいないですね」
別に何日いてもかまわなかったのだが、エバのお姉さんのところに行ったあと、カルタヘナにも行くつもりだった。それを考えると、一ヶ所に何日も留まるわけにはいかなかった。
「コロンビアにはいろいろ面白いものがありましてね。ある遺跡の中から、どう見ても飛行機にしか見えないおもちゃみたいなものが今世紀に入って発見されたんですよ。学者が分析すると、構造的に空を飛べるようになっているんですって。何千年も昔に空を飛べるようなものを作っていたなんて、信じられないけど不思議ですよね」
そういえば、ペルーのナスカの遺跡も空中から見なければ何が書いてあるのか分からない。それを誰が何のために作ったのか、今まで議論されてきたのだが、結論は出ていない。売春とコカインしか日本人には思いつかないコロンビアだが、現地にはまた別の顔もあるのだと思った。
わたしたちは、ウイスキーの水割りを追加注文した。
「マスターは、どうしてコロンビアに定住したのですか。世界は広いし、別にコロンビアじゃなくてもいいと思うんですけど」
「いや、実は僕も世界中を二十年近く放浪してましてね。コロンビアってのは、一番嫌いな国だったんですよ。もちろん、物騒な国だし。でも、たまたまコロンビア人の女性と知り合って結婚することになってね。住めば都というか、成り行きでね。コロンビアってのは、貧乏じゃないんですよ。石油は取れるし、農産物は豊かだし、あんまり働かなくても食えるような土地なんですよ。だから、コロンビア人は怠け者が多い。日本人のバイタリティがあれば、必ずコロンビア人に勝てると思ったのもひとつの要因かな」
エバが「何の話?」と聞いてきた。
「コロンビアは貧乏じゃないって。いろいろあるのに、怠け者だから貧乏なんだって」
「わたしもそう思う」
エバは言った。エバはコロンビア人が日本などに出稼ぎに来るのを「コロンビアは貧乏だから」と、いつも正当化していた。確かに国民一人あたりのGDPは日本より、はるかに低い。しかし、餓死するような状況ではない。車や電化製品など「アメリカ的物質文化」が押し寄せてきて、「あれも欲しい。これも欲しいのに現金がない」という意味においての貧乏なのである。
コカインなどの麻薬にしたって、もともとはアメリカの需要に応えて下請け生産しているようなものだ。アメリカが世界一の麻薬消費国でなければ、コロンビアのコカインマフィアなんて生まれなかったのだ。それが、都合が悪くなると、すべてコロンビアのせいにする。
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