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「わたし、ラーメンも好きよ。あと、お寿司も好き。日本でも食べた」
「嘘だろ。前は食べなかったじゃないか」
味噌汁が好きなコロンビアーナはごまんといたが、寿司が好きなコロンビアーナというのは出会ったことがなかった。さすがに生の魚というのは彼女たちには敷居が高いらしかった。
「ほんと。食べた」
「じゃ、なに食べたんだ」
「玉子、イカ、エビ、それと…」
「誰と食べたんだ」
「友だち」
「男だろ」
「ノー。女。テアトルの女。W市の駅の近くで、仕事終わってから食べた」
最低でも二人で一万円以上はする寿司屋に、コロンビアーナだけで行くとは思えなかった。彼女たちが自分たちの金で食べるのは、せいぜいファミレスくらいである。エバは知らないものを食べるとき、「これ、辛い?」と必ず聞くくらい、辛いものが嫌いだったし、なま物が食べれるはずがないと思っていたので、寿司屋に連れて行ったことはなかった。金をどぶに捨てるようなものだと思ったからだ。
「寿司は高いんだぞ。男と一緒に行ったんだろ」
「ノー。女と一緒。寿司、安い」
「えっ、安いって? それって回る寿司じゃないのか」
「そう。お寿司、回る。あれ、大好き」
「それ、ほんとのお寿司じゃないぞ。ほんとのお寿司はもっと高い」
「でも、わたし、好き」
なんと、エバが行ったのは回転寿司だった。それを普通の寿司屋だと思っていたのだ。もちろん、回転寿司が寿司ではないとは言わないが、やっぱり普通の寿司屋とはネタが違う。回転寿司をもって日本の寿司の代表のように語ってもらっては、やっぱり日本人のわたしとしては困ってしまうのだ。
だが、回転寿司なら同僚のコロンビアーナと行ったというのも本当だろう。デートの「お客さん」なら、回転寿司じゃなくて、もう少し格好がつく店に行くだろうし、エバもそういうことは正直に話してしまうところがある。日本人に近い感覚だといっても、コロンビアーナはコロンビアーナなのだ。
しばらくして、鍋焼きうどんとお弁当が出てきた。鍋焼きうどんもボリュームがあったが、お弁当は日本のものの二倍以上はボリュームがあった。ご飯とから揚げ、刺身など、おかずも豊富に付いている。ただ、ご飯は日本米ではなく、タイ米のようなぱさぱさとした長粒種だ。日系人が少ないので、日本米は営業に使えるほどは手に入らないのだろう。
コロンビアに来て初めての日本食だった。わたしはどこに行っても日本食を食べないでも平気だ。留学や海外駐在の人ならともかく、短期の旅行でわざわざ高い日本レストランに行く人の気が知れないと思っている。行ったとしても、材料が揃わなくて代用品を使っているので、値段の割にはまずいことが多いからだ。
まして、コロンビアの食べ物は、東京であちこち食い歩いた経験で、中南米の料理で一番日本人にあうと思っている。だから、インスタントラーメンなども持って行かない。荷物になるだけだからだ。インスタントラーメンなど食っていたら、その分、現地のおいしいものを食べる機会が減るだけだからだ。
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