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バッタ飛行機は、三たび飛び上がった。水平飛行に移ったころ、突然雲行きが怪しくなった。雨が降り始めたらしく、窓を水滴が流れている。それだけでなく、遠くでピカッと光り、しばらくして雷鳴がとどろいた。雷雲の中を突き進むのか、それとも避けて飛ぶのか、心配になった。
だんだん雷が近づいてきた。ピカッときたあと、すぐにドカーンとくる。飛行機は安全だと言われているが、大型ジェット機ならともかく、こんな小さな飛行機が直撃されたらどうなるのか。計器類が破損してしまわないか、冗談ではなく心配になった。
その直後にドカーンと、一番大きなやつがきた。機体がビリビリ振動した。エバの方を見ると、前の座席にうつぶせになってしがみついている。
「エバ、だいじょうぶか」と声をかけると、「怖い」と蚊の鳴くような声で言った。この一年ほど前に、マイアミからカリに行く飛行機が、着陸寸前に山の中に激突して百数十人が死んだという事故を思い出した。コンピューター制御している大型ジェット機でさえ、事故るのだ。ひょっとしたら、わたしも「コロンビアで飛行機事故。搭乗者名簿に邦人一名の名前あり。当局が確認中」なんてことで新聞に報じられることになるのではと、真剣に思った。これなら崖崩れの心配があっても、ポパヤン経由でバスで行ったほうがましだったと思った。
幸い、でかい雷鳴のあとは雷雲から遠ざかったのか、だんだん光りが遠のいていった。それと同時に、機体が降下し始めた。滑走路が見え、車輪が地面に接地した音を聞いた瞬間に気が抜けた。こんな緊張感は、生まれて初めて飛行機に乗ったとき、十メートルくらい落下した乱気流に巻き込まれたとき以来だった。
ドアが開き、乗客全員がよろめくように外に出た。エバも大地を踏みしめてほっとしたのか、わたしに向かって「だからわたし、飛行機嫌い」とつぶやいた。
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