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エバに二人のことを話すと、わたしもそうだったと言い出した。
「わたしも空港の航空会社のホテルで寝たの。すぐにシャワーを浴びた。だって、イミグレーションは、シャワー一週間に二回だけ。気持ち悪い。ロサンゼルスでシャワーした。一番うれしかった」
警察も刑務所も入管も、風呂に入れるのは一週間に二、三回程度だ。エバが捕まっていたのは冬だったから、一週間に二回しか入れない。わたしのようなものぐさの男でも、一日風呂に入らないと汗臭くて気になってしょうがない。ましてや一日に十数回もシャワーを浴びていた彼女たちが、突然風呂に入れなくなるのは苦痛だったろう。
それにしても、戦前、敗戦直後の貧しいときならともかくも、どうして今でも日本のこういう施設では一週間に数回しか入浴を認めていないのだろうか。何千人も収容している所ならともかく、普通の規模なら経費自体はさほどかかるわけでもあるまい。精神的な苦痛を与える教育的な効果を狙っているのだろうか。それとも、病気にならない程度に風呂に入れるという「お上」の方針なのだろうか。
「エバ、コロンビアの空港にはお姉さん、迎えに来たの」
「ノー。リリアナ、遅刻した。サリーの前のハズバンドが来てくれてた。お姉さん、あとでここに来た」
エバが苦笑いしながら言った。大事な妹が強制送還されてくるのに遅刻するなんて、いかにも時間にルーズなコロンビアーナらしかった。
サリーの別れた旦那は弁護士だという話だった。日本から強制送還される者は、場合によってはコロンビアの入管で何日も留め置かれることがあるらしい。それで、大阪の入管で面会したとき、弁護士である義兄にも空港に出迎えに来てくれるよう、お姉さんに伝えておいてくれと頼まれた。それで、帰国の便と到着日時を姉のリリアナに伝える際に、その旨を伝えておいた。それで彼が出迎えに来たのだ。運よく、何事もなく入国できたらしい。
「エバ、サリーの前のハズバンド、あなたの恋人じゃないの」
「ノー、違う。彼、お父さんみたい。いつも、わたしを助ける」
サリーの前の旦那の存在が気になっていた。いくら義理の妹といっても、新しいアパートをいっしょに探してやるなど、けっこう関係は親密そうだ。血は繋がっていないので、世話をしてやっているうちに…、ということが考えられないでもなかった。しかし、エバが「お父さんみたい」と言ったので納得した。
「わたしと会う、ない?」
「ノー、彼、日本人嫌い」
それはそうだろう。サリーはまだ彼と結婚していたときに日本に出稼ぎに来た。その間に関係が崩れ、サリーは九ヶ月でコロンビアに呼び戻された。彼はサリーが日本で売春をしていることを知っていたのだろう。帰国してすぐに別れたらしい。彼は日本を、日本人を憎んでいるはずだ。そんな男と会ったら、何をされるか分からない。
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