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「リュージ。あと、ヘアドライアー壊れてる。だから、電気のお店探す」
「分かったよ」
美容院・理髪店が集中している一角から、ホテルの方角に歩いていると、大通りの角に電気店があった。といっても田舎町だから、大型店ではなく、街の個人商店だ。
店の中に入り、エバがヘアドライヤーを直してくれるように頼んだ。だが、店の女性従業員に「出来ない」と断られた。百ボルトの日本製のものを百十ボルトとコロンビアで使いつづけていたのだから、電熱線がおそらく焼き切れているのだろう。すぐには修理できないはずだ。
「じゃ、新しいの買って。誕生日でしょ」
「またかよ」
だが、エバが使っていた櫛付きのヘアドライヤーはなく、美容院や理髪店が使っている古いタイプのドライヤーしか売っていなかった。何種類もの櫛が付けかえられるようなハンドドライヤーは、日本独特のものなのだろうか。
「しょうがない。リュージ、あなた日本に帰ったら、わたしの持っているのと同じの買って、宅急便で送って。あれ、安い。三千円」
確かに日本のディスカウントショップの売り出し商品だったら、二千円台でも買えそうだ。コロンビアの変な店で買うよりは、安いかもしれなかった。ところが、エバはまだ諦めない。売り場にあったテープレコーダーを見つけてわたしに言った。
「リュージ。このテープレコーダー、プレゼント」
「だって、ウォークマンくらい持っているだろ」
「ノー。レコード(録音)できるのほしい。わたし、もうすぐ大学行くでしょ。先生の講義をこれで録音して勉強する。ずっと勉強してなかったから、これないと勉強についていけない。どうしても欲しい」
テープレコーダーはサンヨーとかソニーなど日本のメーカーのものが何種類か展示してあった。値段を見てみると、五万ペソ平均だ。日本のヨドバシとかサクラヤでも、ステレオ録音ではない会議録音用の安いものでも八千円とか九千円はしたはずだ。こういう中南米でもよく売れそうな商品は、メキシコあたりの工場で生産しているから安いのだろう。これなら日本で買って送るより、コロンビアで買ったほうが安かった。
「分かった。もう誕生日のプレゼントはおしまいだぞ」
「うーん。あと、テープとバッテリーもね」
まったく、コロンビアに来てからというもの、セーターから始まって、毎日のように誕生日名目で何かを買わされていた。これではエバが「コロンビアに来て」とわたしに言ったのは、わたしに会いたいためではなく、物を買わせるためだったように思えてくる。銀座のホステスのように、何十万円もの物をねだるというわけではないからいいようなものの、利用されているだけという気がしてならなかった。
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