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駅に着いて、まず安宿を探した。高い飛行機代を払ったから、できるだけ安い宿がよかった。遅い時間ならサウナでもよかったが、まだ昼の二時過ぎだ。時間をつぶすのに苦労するので、自由に出入りができるビジネスホテルを探した。
まず駅の周辺を歩いて見当をつけ、次に電話帳でビジネスホテルの欄を探して値段を何ヶ所か聞いた。幸い駅の近くに三千五百円というビジネスホテルがあった。さすが地方都市である。東京ならカプセルホテルでも泊まれない。
チェックインを済ませ、まず仮眠した。早朝に起きたので、三時間ほどしか寝ていなかった。ベッドのほかにはほとんどスペースがないという小さな部屋だったが、それでも風呂はあるし、カプセルよりははるかにましだった。
二時間ほど眠って、外出した。まずエバに頼まれた歯磨きと歯ブラシ、タオルなどをドラッグストアで買った。そのあと早めの夕食を摂った。しかし、食べ終わるともう何もすることがない。繁華街を歩いて回ったが、特別見るべきところもなかった。
しかたなくパチンコ屋に入った。いくらかでも勝てれば、交通費の足しになるかもしれないという淡い期待があったからだ。といっても熱くなるつもりはなかった。せいぜい五千円くらいで大当たりが来なければ引き上げるつもりだった。稼げなくても時間がつぶせればよかったからだ。
幸い三千円のカードで確変の大当たりが来た。二時間ほど粘って、五回大当たりが来た。一万五千円ほどの儲けになった。酒を飲みたい気分だったが、初めての土地で馴染みの店もない。一人で居酒屋に行くのもつまらないので、ホテルに戻って缶ビールと日本酒を自動販売機で買って、部屋でテレビを見ながら飲んだ。
夜の十一時ころ、イタリアのサリーに携帯電話で電話したが、留守番電話になっていた。メッセージは男の声で、イタリア語で入っていた。翌朝、もう一度電話することにして、早めに寝た。
朝七時に起きて、再度サリーに電話した。今度はサリーが直接出た。
「サリー? リュージだ。日本からかけている。分かる?」
「分かる。元気? どうしたの。久しぶりね」
何も事情を知らないサリーは、のんきな口調でわたしに言った。
「エバが捕まったんだよ。M市の空港で。分かる?」
「分かる。本当?。彼女、いつコロンビアに帰る?」
「分からない。裁判になるから、たぶん三ヶ月くらいあとだろ」
「そんなに長い? リュージ、エバはお金持ってるでしょ。それどうする」
「彼女はコロンビアに送ってくれって言ってたけど」
「それ、わたしのところに送って。こっちの銀行でわたしがお金増やすわ。口座を言うからね」
「ちょっと待って。そう言われてもスペルとか分からないから、東京に戻ってからスペイン語ができる人に電話してもらうから。今日、これからまた警察に行って会うから、どうするかエバに聞いてみる」
「分かった。気をつけてね。電話お願い」
エバの安否もそこそこに金の話になってしまった。サリーらしかった。しかし、サリーのところに送ってもいいものか不安に思った。サリーが金を一人占めしてしまわないという不安である。
三百五十万円ともなれば、日本人のわたしでもグラッと来てしまう大金である。同じボゴタにいるリリアナならともかく、イタリアにいるサリーにエバが「金を返せ」と言っても、おいそれとはいかない。姉妹喧嘩の種になりそうな気がしたのだ。
それでなくても、コロンビアに帰ってみたら、送金していた金を家族に使いこまれていて、また日本に戻ってきたという女の話はけっこうあった。いままで送金しておいたエバの金だってどうなっているのか分からないのである。といっても、わたしが決めることではないので、エバにサリーの話を告げ、判断してもらうことにした。
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