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ホテルを八時過ぎにチェックアウトし、近くの喫茶店でモーニングサービスの朝食を摂ってから、九時過ぎにタクシーで警察に行った。昨日と同じように手続きを終え、エバと面会した。差し入れの手続きも済ませた。
彼女は運動の時間中ということで、三十分くらい待たされた。
「オラ! リュージ、元気?」
エバは、この日も意外と元気そうだった。
「エバ、歯ブラシ、歯磨き買っておいた。さっき差し入れたから」
「ありがとう」
「あと、今日の朝、サリーに電話した。彼女、ビックリしてた」
「そう? あと、何言った?」
「お金、イタリアに送ってくれって。どうする」
「まだ分からない」
エバもサリーに送金するのは危ないと思ったのだろうか。しかし、そんなや身内のやこしい話を警察官の前で話するわけにはいかなかった。
「エバ、今日、これから東京に帰るから」
「ありがとう、リュージ。あなた、今度いつ来る?」
「えっ」
どう答えていいのか迷った。わたしは最後だからと思って、思い切って面会に来たのだ。裁判になって、こんなに長引きそうだとは思わなかった。すでに友だちに来てもらった分を合わせて、十数万円使っている。一ヶ月ほどあとから、毎月二十万円ほど副収入が入ってくる予定があったから、無理して来たのだ。しかし、わたしはエバに頼られている。「もう来ない」とは言えなかった。
「二週間あと。ここ遠いから、いっぱいは来れない」
「だいじょうぶ。ありがとう。わたし、待ってるね。手紙書く」
「俺の住所は分かっているだろ」
「分かってる。あと、クラウディアが心配していたよ」
「本当? でも、あなた、クラウディアにわたしのアドレス、名前、教えないでね。お願い」
「分かった」
エバは、コロンビアに帰ったら、昔の仕事仲間と付き合いたくないと以前から言っていた。「わたしには日本でコロンビアーナの『友だち』はいない。『同僚』だけだ」と常々言っていた。金を使い果たした昔の同僚に、たかられに来るのを怖れていたのだ。おそらくサリーのアドバイスなのだろうが、差し入れを持って行って欲しいとまで言っていたクラウディアまで信用していないところに、エバのコロンビアーナらしくない用心深さがうかがわれた。
面会時間の終わりが来た。少なくとも、もう数回は面会に来なくてはならない羽目になった。きちんとエバがコロンビアに帰るのを見届けたい。その一心だった。
留置係の担当官のところに行き、彼女の処分について尋ねた。
「起訴されましたからね。数日のうちに拘置所に移されるでしょう。そこで裁判を待つことになりますね」
「そうですか。裁判までどのくらいかかるのでしょうか」
「それは分からないですね。一ヶ月先か二ヶ月先か、事件はこれだけじゃないですから、裁判所のスケジュールもありますし」
「分かりました。彼女にまた来てくれと言われてるんですが、今度はどこに行ったらいいんでしょうか」
「じゃ、お教えします。いいですか。ここは刑務所と拘置所を兼ねているんです」
わたしは刑務所の住所と電話番号をメモした。コロンビアのお姉さんたちにも、住所を教えなくてはならない。電話や面会はもちろん無理でも、手紙くらい出せると思ったからだ。
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