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運転手はエバに付いて、店が建ち並ぶ路地に入っていった。わたしはチップをもらった少年たちが信用できるのか心配になって、車から離れることが出来なかった。本来ならば、こんな路上にたむろしている少年たちが、スリやかっぱらい、置き引き、車上狙いをやっているのだ。それをチップをやったぐらいで信用できるのか。
だが、カルタヘナを流している運転手にとって、少年たちは顔なじみなのかもしれない。ひょっとしたら、身内なのかもしれない。わたしはエバに付いて行くべきか、それともこのまま車を見張っているべきか迷った挙句、商店街の入り口まで歩いた。ここからだと両方見渡せるからだ。だが、店の中に入ったエバたちの姿までは見えなかった。
五分ほどそのまま待ったが、エバたちは店から出てこない。車のほうを見たら、子供たちは別にいたずらしている様子はなかった。意を決して、エバたちの様子を見に行こうと、歩き始めたとたん、運転手を従えたエバの姿が目に入った。運転手はビデオのパッケージを重そうに抱えている。ご苦労なことだ。
「エバ、時間がないよ」
「だいじょうぶ」
タクシーに乗りこんで、急いで空港に向かった。
「ひとりでビデオをセッティングできるのか」
「できる。心配ない。これでレンタルビデオ、見れる。わたし、ハッピー、ハッピー」
エバは無邪気に喜んで、運転手の目も気にせず、体をわたしの方に預けてきた。女の気持ちはプレゼント次第だというのは、古今東西変わらないのだろうか。
五分ほどで空港に着いた。すでに六時十五分ほど前である。運転手がビデオを抱えて、空港のチェックインカウンターまで着いて来てくれた。乗り遅れるのではないかと心配したが、シーズンオフで乗客が少ないのか、無事にチェックイン出来た。ゲートまで見送ったが、別れ際に「じゃ、あさってな」と言うと、「待ってる」と答えた。
タクシーの運転手が最後にエバに何か告げた。それを受けて、エバがわたしに言った。
「彼、いろいろ助けたから、八千ペソじゃなくて一万ペソ欲しいって。いい?」
もともと片道五千ペソで、往復一万ペソのところを八千ペソに値切ったのだ。ビデオも運んでもらったし、一万ペソを要求されても文句は言えないと思った。それよりも、帰りはわたしひとりになる。怒らせて、とんでもないところに連れて行かれるほうが怖かったので、一万ペソで了承した。
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