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「エバ、もう一日、カルタヘナにいたら。どうせ、おれもあさって、ボゴタに帰るのだから」
「ノー。明日、用事がある。帰る」
「恋人と約束があるんだろう」
「ノー。違う。お義兄さんと会う」
「一日ぐらいあとでもいいだろ」
「ダメ。出来ない」
この十日間は、片時も離れずいっしょにいたから、エバが男と連絡をとった形跡はなかった。ボゴタを離れるとき、彼女は生まれ故郷であるサンタンデール州のお姉さんのところに行くと、恋人に嘘を言って出てきた。彼女の誕生日のときも、電話はしていない。だから、一日くらいどうにでもなると思っていた。
まだ、心の底にコロンビアーノの恋人が残っていたのか。それとも、彼女の過去を知る片山氏たちとは顔を合わせたくないのが本音なのだろうか。しかし、無理強いは出来なかった。どうせ、あさってには会うのだからと、彼女をそのまま送り出すことにした。
時間はまだあったので、ホテルをチェックアウトし、途中で早めの夕食を摂ることにした。
ホテル前に付けていたタクシーを拾うと、エバがおいしいレストランに行ってくれと告げた。運転手がなにやら言った。
「リュージ、なに食べたい。魚、肉?」
「そうだな。せっかく海なのだから、魚がいいな」
運転手に連れて行かれたのは、ホテルから数分の位置にあるシーフードレストランだった。四時過ぎとあって、客は誰もいなかった。メニューを見ると、さすがに今まで行ったレストランの中で、一番値段が高かった。
昼食を摂ってからあまり時間が経っていなかったので、エバに二品だけ選ばせた。サラダと魚のから揚げである。
注文を済ませると、エバが突然言い出した。
「ねえ、隣りに電気のお店ある。わたし、見た。ビデオ欲しい。プレゼント、オーケー?」
また、得意のおねだりが始まったのだ。たしかにエバの部屋には、ステレオやテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの電化製品が一通り揃っていたが、ビデオだけはなかった。
「ビデオは高い。ダメ」
「ノー、安い。わたしは昨日、ショッピングセンターで見た。ここ、ボゴタより安い。二万円」
「安いったって、ここは観光地だぞ。安いわけないだろ。ボゴタより何でも倍ぐらい高いって言ったじゃないか」
「そう。でも、ビデオは安い。隣りのお店、行ってみる。安かったら、プレゼント、オーケー?」
「分かった」
たしかにタクシーを降りるとき、隣りにソニーなど弱電メーカーの看板が掲げてある店があるのはわたしも見ていた。だが、間口が小さくて、電池や電球、蛍光灯の類しか置いていないような小さな店だったとので、行って確かめれば諦めると思ったのだ。
料理が運ばれてくるころにエバは戻ってきた。
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