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「そうか。まあ、仕方ないな。じゃ、セントロでも行くか」
わたしは片山氏たちとタクシーでセントロに向かった。といっても、別にどこに行こうというあてがあったわけではない。退屈だったからである。
ボリーバル公園の近くにまず行った。そこから少し歩くと、いかにも生活臭に溢れた市場に出た。人通りも多い。
前日エバと回ったあたりは、博物館など観光客向けの施設ばかりで、十九世紀の空間に飛んでしまったような印象の地域だったが、ここは現実にコロンビア人が生きているという活気があった。ただ、人通りが多いだけに、スリやかっぱらいには注意しなくてはならなかった。
「片山さん。両替をしておきたいんだけど、どこかありますかね」
「それなら、わたしが利用しているレートのいいところがあるよ。そこ行こうか」
「はい。でも、トラベラーズチェックを両替したいんです」
「聞いてみるよ」
片山氏に付いていくと、「マネーチェンジ」とか「カンビオ(両替)」と看板を掲げた店が十数軒ある地域に出た。片山氏は、路地を少し入ったところにある一軒の両替屋の前に立った。
「ここがレートがいいんだ。女房も、いつもここで両替しているんだ」
わたしはトラベラーズチェックとパスポートを見せて、両替できるかどうか聞いた。だが、ドルの現金しか出来ないという。しかし、両替屋の若い男は、親切にもトラベラーズチェックでも両替できる店を知っているから、連れていってやるという。わたしはひょっとして、中間手数料を取られるのではないかと心配した。
だが、男に連れられていった店で両替すると、百ドルが十万二千ペソになった。ボゴタでドルの現金で両替したときが九万八千ペソだったから、チェックの方が率がよかった。
空港やホテルで両替するときも、チェックの方が若干率がいいが、チェックを作成するときに一%の手数料がかかる。それを考えると、どっこいどっこいだが、チェックは盗難のときに再発行できる。しかし、コロンビアのような国ではチェックで両替できるところは限定される。痛し痒しだった。
「リュージさん。チキンのおいしいところに行かないか。中国人がやっている店があるんだ。おやつ代わりにどうだ」
「いいっすよ」
片山氏に連れて行かれたところは、小さなカウンター形式の店だった。中華街によくあるように、赤色でごてごて書いたような看板はない。ぱっと見では何の店か分からないだろう。だが、カウンターの中に立っていたのは紛れもなく中国人の女性だった。二十二~三歳くらいだろう。
カウンターの奥には、すでにひとりの髭をはやしたコロンビアーノがチキンを食っていた。ふたりはスペイン語で会話をしていた。女性のスペイン語は完璧だった。おそらく何代か前にコロンビアに移住した広東系の華僑で、彼女自身はコロンビアで生まれ育ったのだろう。
わたしたちはチキンとコーラを注文した。出てきたチキンは、カリで食べたものとも、中華料理屋で出される鳥のから揚げとも違っていた。ケンタッキーとも、もちろん違う。隠し味が何か分からないが、おいしかった。
ボゴタの中華料理屋の春巻きも、日本や中国・台湾のものとは違ってコロンビア風にアレンジされていた。ここのチキンも、カルタヘナに根付くうちに多少変化していったのではないだろうか。
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